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器用貧乏と再びの悪魔3

明けましておめでとうございます。

間が空いてしまい申し訳ありません。年末は忙しかったんです。FGOが。魔神柱をボコってました。年末にアニメもやりましたしね。私は正月に武蔵が出てご機嫌です(笑)。


さて、一応ですが次の話で一章が終わります。たぶん、きっと終わります。二章もがんばって書くのでよろしくお願いします。

 


 実際のところブルタールのダメージは甚大だ。いくら弱体化していてもハルトクラスの攻撃は効く。効いてないと言っているのはただの痩せ我慢だ。

 ハルトも手応えからそのことはわかっているが余裕は無い。今掛けてある生体魔法が解けたら絶対に勝てないからだ。急がなければならない。でも手が無いわけじゃない。


「悪いですが、もう先ほどの手は通じませんよ」


 ブルタールはハルトの左手を警戒している。もうさっきの騙し討ちめいた策は通じないだろう。だがハルトもそんなことはわかっている。警戒されるのならばそれはそれで上手く使うだけだ。


「あっそ。ところで俺ばっかり気にしてていいの?」

「っ!」


 ブルタールが慌てて振り返る。そこにクリスは居なかった。


「しまった!」

「遅い」


 クリスはすでに肉薄して大剣を振り切っていた。


「ガァッ!」


 盛大に血肉が飛び散る。ブルタールは反射的にエストックを突き込むがクリスはあっさり下がった。

 ブルタールが疑問に思った直後に衝撃が連続して襲ってきた。体を確認すると鉄球を投げつけられたようだ。


(これは!)


 次の瞬間、体から離れて地面に落ちていく途中の鉄球たちが衝撃波を放った。


(ゴーレムに大ダメージを与えた技ですか!)


「はあああーー!!」


 ブルタールを影が覆う。上を仰げばクリスが回転しながら迫っていた。


「くぅ!」


 体を捻ることで辛うじて避ける。

『サマーソルトセイバー』を放った直後のクリスは無防備だったがハルトが虎視眈々と隙を狙っていたので攻撃出来なかった。


「どういうことですか? いくら私の意識がハルト様に向いていたとしても完全にあなたを見失うはずないのですが」

「簡単な話です。私の隠蔽スキルは738。マントの隠蔽効果も合わせれば更に上がります」

「な、なんだと!?」


 クリスのスキルの高さにブルタールが驚く。ハルトも度肝抜かれている。流石伊達に長生きしてないな。


「ステータスにやっと感覚が馴染んできました。ここからが私の本気です」


 クリスが凄まじい速さで動く。勢いそのままに大剣を振り抜いた。

 ブルタールは何とか避けることに成功する。

 しかし、クリスはギャリッっと地面を踏み締めて急停止するとギュルッっと体を回転させて蹴りを放つ。足はセルリアンブルーに輝いている。

 体術AS『貪狼』。超速の回し蹴りがブルタールの土手っ腹に突き刺さる。


 片手剣に両手剣に隠蔽に体術。まだまだ使えるスキルはありそうだ。こんなにたくさんのスキルを使えるとかハルトの立つ瀬がない。


 ブルタールは脂汗をかいている。だいぶ効いているようだ。


「はあっ!!」


 入れ替わりでハルトがブルタールの前に出た。そして毎度お馴染み七つの大槍を一瞬で作り出す。

 至近距離で大槍をくらったブルタールはグラグラ揺れている。

 爆発を目眩ましにしたハルトは短剣を構えた。短剣はワインレッドに光っている。

 短剣AS『カルテットリーパー』。四連撃の切り払いがブルタールの胸を切り裂く。


 ブルタールも負けじと突き返そうするが、クリスが割って入って阻まれる。さしもの上級悪魔も二対一では分が悪い。


『バーチカルセイバー』、『マインゴーシュ』、『ハードスタブ』、『デュアルリーパー』、『ヘビーセイバー』。ハルトとクリスは怒濤のコンボを決める。

 初めてなのに仲いいね。


「調子に乗るな!!」


 ブルタールが一瞬の隙をついてカポエラのような連続蹴りを放つ。

 クリスがまともに受けて切り刻まれた。


「クリス!!」


 ハルトが咄嗟に叫ぶが、次の瞬間にはクリスの傷は治っていた。


「おおうっ」


 度肝抜かれているが自分も同じ体質だということを忘れている。むしろクリスよりタチが悪い体なのに。


「まったく、厄介な!」


 ブルタールとクリスが再び斬り結んでいく。ハルトも斬りかかろうとすると声を掛けられた。 


「おい! いい加減、我を拾え!」


 地面に転がっているグラムことアゲインストが喚いている。


「たく、わかったよ」


 ハルトがグラムを回収すると、アゲインストが文句を言い出した。


「黙ってろというから黙っておれば放置しおって!」

「タイミングが無かったんだタイミングが」


 ハルトは適当に誤魔化しつつ、クリスとブルタールの戦いを見る。ブルタールはボロボロのくせになかなか倒れない。あと一押し、あと一押しが足りない。


「こいつで仕留める!」


 ハルトはコートをはためかせると、グラムを担いで突っ込んだ。



「なぜですか!? エルフであるあなたよりも悪魔である私の方が基本ステータスは高いはず。なのになぜ倒せない!?」


 最早体面をかなぐり捨てたブルタールは吠えながら猛然と突き掛かる。

 対するクリスも顔を険しくしつつも互角に渡り合う。よく考えたらおかしい。どうなってんだこのエルフ。


「それは私がある称号を持っているから」

「称号!?」

「大器晩成」


 大器晩成の効果はレベルやスキルの熟練度が後半になればなるほど高い補正が掛かるというもの。簡単に言えばレベルが高いほどステータスが上がり、スキルの熟練度が高ければ高いほどスキルが強力になる。

 言葉にすると当たり前のことのようだが、称号のあるなしでは天と地ほど違いが出る。年齢不詳というか年齢不明なエルフどのは長い時間をかけてレベルやスキルを上げまくっているので称号の効果を十二分に活かしている。まさに継続は力なり。


「随分と珍しい称号ですねえ」

「そうですか」


 二人の動きが一瞬止まる。そのタイミングでハルトが割って入った。


「はああっ!!」


 コートから雷鳴が迸る。刻まれた刻印魔法が起動した。


「落ちろ“雷墜〟!!」


 極大の魔方陣が上空に顕現する。


「そ、その魔法は!?」


 雷墜は雷魔法スキルの熟練度が800に到達しなければ修得できない。特徴はべらぼうな高威力で熟練度1000で修得できる魔法と遜色がない。ただし詠唱に長い時間がかかる。まあ、刻印魔法ならば詠唱は問題無いが。


 上空より馬鹿デカイ雷撃が落ちてくる。それはまるで神罰のようだった。


「クッ! クソォォー!!」


 ブルタールがエストックを掲げる。


 ドオォォーン!!


 ブルタールは雷撃に呑まれた。

 立ち上った砂煙が晴れると、そこにブルタールはいなかった。


「やったか?」


 それはやってないフラグだ。


「リザルト画面が出ません。逃げられたようです」


 クリスの言葉通り、どこからともなくブルタールの声が辺りに響き渡たった。


「今回は私の負けです。ですが、いつの日かあなたを殺して差し上げましょう。ハハハ、ハハ、ハハハハ!!」


 粘つくような笑い声を最後にブルタールの声は聞こえなくなった。


「逃がしたか。転移系のアイテムでも持ってたのか? まあいい」


 ハルトは切り換えるとクリスの方を向いた。


「クリス……」

「ご主人様……」


 二人が見つめ合う。言いたいこと聞きたいことはたくさんあるだろう。だが、今は黙って見つめ合う。

 そして、二人が歩み寄ってお互いの距離がゼロになったところで、二人は白い光に包まれた。


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