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勇者達のダンジョン攻略4

実習からのテストで死にました……。

しかも山でスズメバチに刺されるという……。幸い毒が弱い種類だったので大したこと無かったのですが痛いですねー。

みなさんもお気をつけください。

 



 上層に上がった生徒達は一塊になった。上層からは別れずまとまって行動するからだ。


 階層の広さも下層と比べれば大分狭くなっている。


「残る階層もあと十層だ。今日中に最上階まで進み、ボス部屋手前のレストルームで一晩明かす。気合い入れていけ!」


 アレクに活を入れられた生徒達はツーヘッドファミリアを倒して弛んでいた心を引き締める。


 生徒達はパーティごとに通路を進んで行く。

 大河達のパーティは先ほどの戦闘で活躍したのが目に留まりアレクが横についていた。


「さっきの戦闘は見事だったな。一番取り巻きを倒しただろう?」

「はい。まあ勇者達がいなかったのもありますが」


 アレクが褒めているが大河は一応謙遜しておく。日本人は謹み深いのだ。


「まあそう言うな。ここだけの話、連携だけなら勇者達のパーティより上だ」


 ちなみに生徒達は固まって行動してはいるが、パーティ同士は最低五メートル以上は離れているので小さい声で話せば会話は聞こえない。


「あはは。光栄です」

「その調子で頑張れよ」


 大河は調子を合わせて照れておく。だが心中は。


「下地を作ったのはあいつだけどな……」


 大河の呟きは小さすぎて隣にいるアレクにも聞こえなかった。



 破竹の勢いで次々に階層を踏破した生徒達は予定より早く最上階に到達した。

 しかし、疲れを残したままボスと戦うのは危険ということで早めに休息となった。


 最上階はそのスペースの殆どを広大なボス部屋にとられており、ルームの数自体は少ない。そして、魔物はボス部屋にしかいない。そのため生徒達はけっこう安心していた。


 しかし、地球と違いスマホは圏外だし、ゲームは無いし、漫画も無い。することなんておしゃべりくらいしかない。おしゃべりの内容も武器や魔法や戦闘と殺伐としている。


 そんな中、大河と達也も殺伐とした会話をしていた。少し前まではこんな雰囲気でも達也達は和気藹々としていた。だがたった一人が欠けてしまっただけで大きく変わってしまった。


「次のボス戦は当然ボスと戦うんだろ?」


 達也が血気逸るように目をギラつかせている。


「一応な。予定では勇者達のパーティと俺達のパーティでボスと戦うことになってる」


 大河も静かに猛っていた。


「けど状況によっては変わるかもしれない。その辺は臨機応変にいこう」

「ちっ。しゃーねーな。お前の指示だったら従ってやるよ」


 どうやら達也はボスと戦いたくてしかたないようだが、信頼している大河には従うようだ。


 二人がああだこうだ言いながら時間は過ぎていった。



 翌日、朝食を済ませると生徒達はパーティごとに整列した。これよりボス攻略が始まるのだ。


「いよいよボスとの戦いだ! お前達は強い。だが実戦では何が起こるかわからん油断するなよ!」

「「「はい!!」」」


 アレクの鼓舞で生徒達の士気が上昇した。


 ギィィー


 扉が軋みながら開かれていく。守と拓真のパーティが扉を押していく。

 扉には巨大なコボルトのレリーフが描かれており重厚な雰囲気を振り撒いている。もしこれが地球の遺跡で発見されれば歴史的価値のある文化遺産となったことだろう。


 扉が開ききり、部屋の中が見えるようになると勇者パーティがゆっくり確認しながら部屋に入る。

 部屋自体は何の変哲も無いがとても広い。広さ的には東京ドームと同程度である。


 勇者パーティが危険が無いのを確認すると次々に他のパーティが雪崩れ込む。

 生徒達は適度に間隔を空けつつ、パーティごとに展開する。

 アレク達騎士団と魔法師団は離れた場所に固まっており、基本的に戦闘に手を出すことは無い。


 部屋の中は薄暗い。いくら日本にいたころより視力が上がった生徒達でも流石に入口付近から最奥までは見通すことは出来なかった。


「どこにいるんだ」


 守が呟いた瞬間、ボッと松明に火が灯る。

 松明は一つだけではなく、壁沿いに次々と点火していく。


 生徒達が身構える中、最後の松明にも火が灯り最奥が照らされた。


「っ!!」


(あれが……)


 最奥にある玉座に大型のコボルトが座っている。全身黒色で筋骨粒々、目付きもとても鋭い。まわりには武装したコボルトが侍っている。


「なんかおかしくないか?」


 勇者達のすぐ後ろにくっついていた大河が声をあげた。


「コボルトキングって赤色の筈だろ? あいつ黒いぞ」


 大河はいぶかしみながらもアレク達が訓練としてわざと嘘の情報を教えたのかとアレク達を見る。

 しかし、アレク達もざわついていて驚いているようだ。


「なんかヤバそうじゃないか? 一旦部屋から出てアレクさんに指示仰いだ方がいいんじゃないか?」

「たかがコボルトだろうが。あんなのにびびってんじゃねえよ」


 大河は一時撤退を意見するも拓真は聞く耳持たなかった。


「俺は行くぜ!」


 そう言うなり拓真は駆け出して行く。


「え!? ちょっ」


 大河が止める間も無かった。拓真のパーティメンバーも続いていく。


「俺達も行くぞ!」


 守も行ってしまう。


「待ちなさい! 守!」


 凜達が止めようと追いかける。


「えー……。うっそー……」


 結局勇者パーティは全員突撃していった。アホなんだろうか。







(今度こそ俺が!)


 守が疾駆している先でボスのコボルトが立ち上がった。


「グオオーー!!」


 大型のコボルトが吠えると取り巻きのコボルト達が一斉に拓真のパーティに襲い掛かった。


「死ね!」


 拓真と打ち合ったコボルトは耐えきれずに体勢を崩した。しかし、続々とコボルトが群がってくるため止めは刺せなかった。

 さらにあちこちから剣だの槍だのが突き出され、たまらず飛び下がった。


「なんだ?」


 今までならコボルトなんて何体群がろうがどうってこと無かったが、今回は妙に動きが鋭く油断出来なかった。


 拓真は索敵スキルを発動させる。

 読み取った名前はコボルトソードマン、コボルトランサー、コボルトアーチャー。それぞれの武器に特化した種族のようで、特化している分その武器を使うと強力のようだ。


「荒井くん!」


 竹中らパーティメンバーが拓真に追い付き加勢する。しかしコボルト達は三十体以上いて、しかも連携して攻撃してくるため手に終えない。


 守は走りながらボスと戦うか拓真の援護に行くか迷ったが、それもすぐに終わった。

 ボスがすっ飛んで来たからだ。


「なっ!?」


 ボスのコボルトの装備は片手剣にラウンドシールド。すっ飛んで来たのは片手剣AS『リープスラッシュ』を使用したからだ。

 守はクラウ・ソラスの刃ではなく腹を向け防御する。


 ガキィン!!


 それでも勢いは殺せず三メートルほど靴底が地面を削った。


「この!」


 守は距離を取りつつ索敵スキルを発動させる。ボスのコボルトの名前はコボルトキングアベンジャー。他にもスキルはいくつか読み取れたがアビリティは読み取れなかった。


「名前が違う!?」


 本来のアンダードックのボスの名前はコボルトキング。黒いコボルトは明らかに違う。装備は同じのようだが聞いていたよりスキルが多いし、アビリティがある。

 ここでもう少し慎重に行動すれば良かったが、守は疑問を脇に置いて攻め立てた。


「グオオーー!!」


 コボルトキングアベンジャーが再び吠えると壁の穴からコボルトが飛び出して来た。

 飛び出したコボルト達はどうしようかと固まっていた生徒達に殺到した。生徒達は不意を突かれたため押され気味だ。

 コボルトの中には大型の個体もおり、指示を出している。そのコボルトはコボルトリーダーであり、ハルトにボコボコにされた種族である。

 本来なら取り巻き達ももっと弱い筈だが、なぜか強力な種族になっている。


 ギィィー


 扉が軋む音を聞いて生徒達が扉の方を見ると扉が閉まり始めていた。

 扉付近に固まっていたアレク達はなぜか部屋の外にいる。

 なぜ外にいるかというと突然地面が隆起してアレク達を外に押し出したからだ。

 そして、アレク達が戻って来る前に扉は閉まりきってしまった。生徒達は直感的に理解した扉は開かないと。


「大河どうするよ!?」


 達也が大河に指示を求める。

 大河達は先行した勇者達と後方に残った生徒達の間におり、どちらの支援も出来るのだ。


「俺達は取り巻きをやるぞ! どうせ勇者達はほっといても大丈夫だろ!」


 大河達はコボルトリーダーに向かって駆け出した。



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