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勇者達のダンジョン攻略2

週末からまたもや山に籠るので来週は投稿できるかわかりません。

ストックが出来ていたら電波を探して投稿したいと思います。

なにぶん向こうは電波が入らなくて執筆出来ないもので……

 



 生徒達が向かったダンジョンは王国の北側にある。ダンジョンの名前はアンダードッグ。ドッグと名のつくようにコボルトがメインに出現するダンジョンである。


 アンダードッグまでは馬車で三日かかり、その間は野宿だ。 

 生徒達はサスペンションもくそもない馬車に揺られお尻を痛くし、乗り物酔いでフラフラの生徒も続出した。

 更に現代っ子には野宿は辛かった。特に女子は入浴は出来ないわ、トイレは無いわで戦う前から半泣きである。ろくに眠れない生徒も続出した。まあ、達也を始めとした一部の生徒は気にせずいびきをかいていたが。


 そんなこんなでアンダードッグ最寄りの町が見えた時は生徒達から歓声があがった。

 大丈夫か勇者達。


 町で一泊した生徒達は翌日からダンジョンの攻略を始めた。

 町で英気を養った生徒達はやる気十分である。


 今回のダンジョンの攻略は低層ではパーティ毎に動き、中層で合流することになっている。この方法はアンダードッグが全階層の隅々まで探索されているから出来ることだ。危険なポイントがわかっていれば生徒達は低層では苦戦しない。異世界チートは伊達では無いのだ。


 ダンジョンの入り口でアレクに活をいれられた生徒達は希望と不安を同等に胸に秘め、ダンジョンに突入した。





 最有力パーティの守達は手早く攻略を進めていた。

 アンダードッグは先細りの塔の形をしており、上層に行くほど狭くなっていく。一層の広さは日本の下手な街ほどもある。

 そのため生徒達はバラバラに探索し、複数ある階段で各自上層を目指すことになっている。


 守達は立ち塞がる敵を文字通り粉砕しながら、特に苦戦もせず進んでいた。しかし、その中に連携の二文字は無かった。みんなただバラバラに攻撃しているだけだ。確かに低層の魔物など鎧袖一触ではあるが、それでは訓練の意味が無いだろう。


 快調に進んではいるが、同行するアレクの顔には苦いものがあった。教えている側からすれば、今までの訓練はどこにいったという心境だろう。


 それからしばらく進むと階段のある部屋に大量の魔物の気配があった。

 索敵スキルで探知した守達は一度集まって話し合いを始めた。


「みんなも気づいたか? 結構な数がいる」


 守の確認に全員が頷く。


「どうするつもり?」


 凜の質問に守は迷わず即答した。


「俺一人で突撃する」


 バカなんだろうか?

 凜も頭を抱えている。


「相手は低層の魔物だし、ちゃちゃっと倒してくるからちょっと待ってて」


 言うないなや飛び出そうとする守の頭に拳骨が落ちた。

 ゴチン!


「イタッ!? 何するんですか、アレクさん!」


 守の背後に立っていたのはアレクだった。ただし顔はおっかない。


「何するんですかじゃない!! 折角の実戦の場なのにお前一人で突っ込んでどうする!!」


 もう一発拳骨が落とされ、守は撃沈した。

 ため息を吐いた凜が代わりに作戦を考える。


「というわけで、どこかのバカの二の舞にならないように私達は陣形を組んで突入します」


 凜の言葉に守は恨みがましい視線を向けている。凜は華麗にスルーだ。


「いつも通り男子三人は前衛を、私が中衛を、レイラが後衛を。いい? 連携の訓練なんだから一人で戦うんじゃないわよ!」


 凜の注意を受けて、全員で飛び出す。そして、部屋に入るとすぐに陣形を組む。


 コボルト達は守達に気がつくとキャンキャン吠えながら突撃してきた。しかもバラバラに突撃してきた。もしかしたら守の知能はコボルトと同程度なのかもしれない。


 突撃してきたコボルトを前衛の三人が受け止める。守はコボルトを撫で斬りにする。剣崎は槍で凪ぎ払う。武田は斧で吹き飛ばす。その間に凜が刀で援護して敵を倒す。後衛のレイラが落ち着いて詠唱して、魔法を発動させる。


「理を越えし力よ、我が内なる魔力を糧に燃え盛る炎の海に敵を沈めろ “炎海〟」


 コボルトが十体程、火の海に呑まれた。火は一分程度で消えたがコボルトは黒焦げになっていた。


 ものの数分でコボルトは全滅した。連携を意識しながらも相手が弱すぎてあまり練習にならなかった。


 このとき守はおろか凜でさえこう考えていた。

 私達は弱くない、この前は相手が悪かっただけだと。


 しかし、問題は表面に浮かび上がってないだけで確かに存在していた。







 ところかわって、大河達のパーティ。


 大河達のパーティは早さは無いが着実に攻略を進めていた。


 大河を先頭に道を進む。すると曲がり角からコボルトが出てきた。大河達はすぐに臨戦態勢をとる。


 ダンジョンの通路は広くない。道幅は四メートル程だ。せいぜい二人しか並べない。武器を振り回すことも考慮すれば二人でもキツい。


 なので大河達は大河が一人で先頭を務める。動きづらくなるくらいなら一人の方が良い。


「くらえ!」


 大河がメイスを叩きつける。生意気にもこのコボルトは木製の盾を持っていて、大河の一撃を防いだ。普段なら盾ごとコボルトを粉砕しているところなのだが、今回はそうはいかない。なぜなら、大河が使っているメイスは普段使っている物ではなく、予備のメイスだからだ。当然武器のグレードは低い。

 どうしてそんな物を使っているかというと、訓練のためだ。普段の武器では強すぎるので、わざと弱い武器で戦っているのだ。


 お返しとばかりにコボルトが片手斧で攻撃してきた。大河は盾を構える。

 そして、盾で片手斧を弾いた。

 盾系AS『シールドバリィ』

 銀色に光った盾で片手斧を受けると、片手斧が弾き飛ばせれコボルトは得物を失った。


「スイッチ!」


 すかさず大河と場所を入れ換えた達也が大剣を振りかぶった。達也の大剣も予備の物だ。


 剣系AS『バーチカルスラッシュ』

 青く光る大剣がコボルトの脳天に降り下ろされた。頭を潰されたコボルトはゆっくりと倒れた。

 大剣なのに効果音をつけるならボコォン!!である。いいのだろうか。


 先ほどから敵が一体なら前衛のみで、二体なら中衛も、それ以上なら後衛もという戦い方をしている。


「ふう。大分連携も板についてきたかな」

「つっても相手は雑魚ばっかだけどな」


 大河と達也が戦闘を終えて一息ついているのを女子三人が見ている。敵のほとんどが単独だったので暇なのだ。


(いくら相手が弱くても息合いすぎじゃないですか?)


 その中で唯は戦慄していた。実戦で間近に見るのは初めてだったとはいえ、ここまでとは思っていなかった。


 確かに生徒達は強い。ただ連携は一朝一夕ではものにならない。他の生徒達は未だに連携が覚束ない。

 その点、大河と達也は息がぴったりである。その理由は気心が知れた仲であることと、役割がはっきりしているからだ。防御特化と攻撃特化。大河が防ぎ、達也が攻撃。実にわかりやすい。


「よし、移動するぞ」


 大河の言葉に全員が頷くと移動を始めた。


 その後も問題は無く、無事に中層に到達して他のパーティと合流した。

 大河達が到着した時にはすでに他のパーティは全て集まっていた。見た感じ大きな怪我をした生徒はいないようだ。


「遅えんだよ」


 剣崎がイライラしながら呟いた。守達のパーティは一番に到着していたため待ちくたびれたのだ。短気である。


「なにか問題でもあったの?」


 レイラが心配そうに聞いている。なまじ大河達はヒュージラプトルとの戦いで活躍していたので心配になったのだ。


「いや、大丈夫だよ。いろいろ試しながら来ただけだから」

 大河が安心さようと笑いながら言うとレイラは安心したようだ。


「全員揃ったようだな。誰も欠けることが無くて安心している」


 アレクが全員揃ったのを確認して話を始めた。


「この後は二手に別れる。次の合流場所は中層のボス部屋の前だ」


 生徒達は二手に別れて移動を開始した。勇者二人のパーティを片方ずつに振り分け、他にもなるべく戦力が均等になるように編成された。


 大河達は守達のグループに編成された。

 グループの先頭は守のパーティ。大河達はその後ろだ。


 生徒達は中層に突入した。



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