母性という神話
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「どうだ。」
ちょっと前に見た、尊大な態度の女がいた。閻魔とか名乗ってた奴だ。
何がどうだと言うのだろう。
「今の生活がどうだということだ。あと尊大も何も私は実際に偉大だからな。」
そういえばこいつ思考が読めるのか。うーん面倒くさい。
いや喋らなくていい分楽だけど、気を遣うというか。いや気遣いした所で読まれるなら同じなのか。
どうしろと。
まあ生活についてはいい事ばっかりでもないな、おっぱい張るし。
とはいえ元に戻りたいとは欠片も思えないが。うーん少し悲しい人生だった、もう縁ないけど。
「実は貴様が望めば戻してやれたんだが・・・まあいらないみたいだな。」
ていうか結構真面目なんだな、てっきり1人にそんなに時間かけてられるものでもないと思ってたんだが。
閻魔って言ったら、色々な人間の来世決めてたんじゃないのか。
こんなに1人に時間掛けるものなのか。
「私は話がしたいのさ、永遠の時間を生きてるからな。いや生きてるのかな・・・はは。」
自嘲するように閻魔が言った。
不老不死で人生に飽きるとかよくあるネタだなそれ。確かに暇そうではあるが。
「暇だから貴様のような人間で暇を潰しているのさ。あと・・・私も、貴様と似た所があるからな。」
嘘つけお前みたいに偉そうではないぞ。むしろ俺ほど謙虚で腰の低い奴もいないだろうに。
根暗で陰気の間違いだったな・・・うん・・・死のう。
どうせ俺なんか一生、中学の頃言われたような陰キャラなのさ。
俺を馬鹿にしてたような奴ほど、ちゃんと社会でも活躍してるんだろうどうせ。
そりゃそうか。1人じゃいじめというかさ、誰か馬鹿にしたりとかなんて出来ないもんな。
誰か一緒に馬鹿にできる集団というか、他人とつながりを作れる時点で、俺みたいなのとは全く立場が最初から違うというか。
・・・駄目だ、前のことを思い出すとメンヘラっぽくなる。
俺は弱い人間だが、他人に語り出すほど面倒ではなくありたいのだ。
せめて空気でいたいのだ。その空気である俺自身が、社会で息してたか怪しいが。
「・・・まあなんだ。ほら、聞きたいこととか無いか?あの世界についてとか」
駄目だちょっと引かれてる、まあ脳内覗かれてるから当然なのか。
考えてもどうしようもないもんな。それでも考えてしまうんだけどな。自分自身の頭が一番面倒くさいというか。
とりあえず何で母乳出る体にされたの?
「ホルモンが減ると胸のハリが無くなるからな。それで親切心からあのスキルを付けたんだが・・・まあ、すまんな。」
今からでいいから消してくれ、あと貧乳でいいから。巨乳も別になんか自分がそうなって嬉しい事とか全く無いし。
男にもしモテても全く嬉しくないぞ。まあ今のところ全く男が寄ってきたりとかないけど。
「今からは無理だ。私にできるのは死者の管理と転生までだ。今回のも転生後の調査で会っているだけだ。」
使えない閻魔だな。仕事の評価とか下がらないのか?そんな調子で。
「閻魔の仕事は死者の管理がメインなのさ、転生は評価されない項目。まあこれも実はちょっと問題視されてるんだが。」
よくわからんがわかった、知ってもどうしようもないというか。
ていうかスキルとかキャラとかどうなってんの?移転と言ってもどんな感じになってるのかわからん。
「あれは私が貴様の記憶から読み取って、この世界で大体一致するように設定した。」
でも一部はスキルの名前とかシステムとかネトゲ、というかTSO2と一緒じゃね?
あんなことあり得るもんなの?
「それは偶然・・・いや、実は心当たりはあるんだが、多分もう貴様に関係することはないだろう。」
なんか歯がゆい言い方だな、教えろよ。
「すまん、もう時間だ。」
目の前の偉そうな女がフェードアウトしていった。
うーんなんか誤魔化したかったのだろうかこれ。閻魔とか名乗る女が手を振っているのが、おぼろげに見えたのが最後だった。
――――
目が覚めると朝日が眩しかった。眩しいから目覚めたのかもしれないが、因果関係はわからない。
ベッドの中で動いた様子を見てか、足音がこちらへ向かってくる。
「おはようっ!ソラノメ行こうねっ!」
ノエラだった。
もう外に出る服に着替えて、テンションも高く張り切っている。
朝から勘弁して欲しい。元気なのはいいことだと思うのだが、付いていける気がしなかった。
ベッドの中を確認するとニンナはまだ眠っていた。
でもなんで抱きついて自分の乳首に吸い付いているのだろう。というか下着めくれてるんだが。
意識してみると片方の胸だけ、少しスッキリした感じがしていた。
寝ながら乳吸われてたのだろうか・・・うわあ・・・ていうか今も吸われてないかこれ!?
吸われてるのを意識すると、ニンナがちょっと愛おしく思えたのが余計辛かった。
母性には目覚めたくないぞうん。でもなんで俺ニンナの頭撫でてるんだろう・・・
いやまあうん、なんだろう。
ニンナのことは奴隷とはいえ、やっぱり大事にしてやりたいなとは思うけどこういうのじゃないというか・・・
自分が怖かった。ママにはなりたくないぞ絶対な。うん。
「イチャイチャですな。」
ノエラが茶化した調子で言う。
死ぬほど恥ずかしかった、それ以外なかった。自分もノエラに甘えてた時こんな感じだったのだろうか。死にたい。
とはいえ今は本気では死にたくはなかった。
ニンナやノエラの為にも。いや本当は自分なんか必要としていないとかで、一方的なのかもしれないけど。考えると恥ずかしいからやめとこう。




