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ぼっち

「あの・・・仕事・・・」


「ええ!いくらでもありますよ!あのような奇跡の遣い手なら引く手数多です!あの光る方の魔法も強そうですしね。なんと言ってもアンティードIIIですが!」


副組合長はさっきに比べれば少し落ち着いた様子だった。いやまあうんそういうことにしとこう。

何にしても仕事は紹介してくれそうだし、さっき逃げようとしたのもなんだか悪かったかもしれない。

とにかく衣食住は確保しなければ。まずは今日の宿と飯だけでも。

さっきのはそれでもちょっと怖いというか、今もちょっと怖いのだが。目の妙な輝きというか。それでも金だ金。生きるための。


「すぐお金に・・・」


「短期間で稼げるような仕事ですか。それはちょっとどうなるか・・・」


副組合長が少し困った表情をする。


「うーん・・・ウチのようなギルドの場合ですと、治癒・補助魔法の派遣要請はかなりあるにはあるのです。

しかしあくまでダンジョンの深層に潜るパーティーや、遠方へ出る商隊の護衛として随伴するだとか、そういう仕事が中心になってしまうのですよね・・・。

ですので治癒や補助魔法の派遣となると、どうしてもうちだと期間が長めの依頼ばかりになるので、そういう仕事は難しいかもしれません。」


「・・・は、はい。」


困った。肝心なところで役に立たないな。いやちゃんと考えてくれていることはよくわかるし、仕方ないが。

ていうかなんか真面目なさっきの仕事モードに戻ってきたな。ちょっと安心だ。


「一応、前金をギルドの方で支払う仕組みもあるのですが、これはある程度信頼が保証されてる方でないと難しいのですよね。

申し訳ありませんがこれの利用については、私の方で推薦しても今までに同じギルドでの仕事の実績がないと無理だと思います。

依頼主と直接交渉されるのでしたら前金も可能であるとは思いますが、そうなるとギルドとしての紹介はできないので・・・申し訳ありません。」


「・・・はい。」


「私個人としてならお金を貸せるのですが、その代わり・・・」


「それはいいです」


きっぱり断る。副組合長はがっくりうなだれていた。いやだってなんか怖いし・・・。お金借りるのもだが、

その代わり・・・の後何を要求するつもりだったのだろう。自意識過剰なだけかもしれないけど。でもいきなり初日で借金もどうかと思うしな。

TSして借金返済のためにエロ同人のごとく身体を売らせられるのも・・・うーんシチュエーションで言えば好きなはずだが。

現実でされたいかと言われると、またこう違うというか。現実じゃなくて転生先の異世界かここ。いやでも今の自分にとってはリアルだ。


「じゃあ回復じゃないの・・・」


「短時間で稼ぐとなると、そちらでしょうかね。それではムッカにはいい仕事を回すよう言いつけて来ますか。」


気づけばギルドの建物の前まで戻っていた。ムッカって誰だろう、あの受付の人だろうか。

そのまま建物の中に入り、カウンターに向かうとさっきの人がいた。


「ムッカ、スガヌマさんにいい仕事をよろしく頼むよ。私は少し別の仕事をしてくる。」


「はい。」


ムッカと呼ばれた人が返事をする。やっぱりさっきのカウンターの人だった。

副組合長はそのまま奥へと進み、こちらに振り返って言った。


「それではスガヌマ・ナオさん。またできれば魔法師としてもお願いします。」


「・・・はい。」


「神の如き奇跡をお願いしますね!アンティードIIIという名の至高たる神秘!」


最後の最後で壊れつつ、副組合長は扉の中へと入っていった。これさえ無ければいい人そうなのに・・・。

ムッカさんと自分が2人残される。ああ・・・説明するのか。別にいいんだけどちょっと気が重い。

というかこんなに人と喋ったのはいつぶりだろうか。自分でも信じられない程である。

いやこれでも多分会話で言えば相槌打つだけだったり、色々とあんまり喋ってない方に入るのだろうけど。

幸いだったのは殆どの会話が1対1なことだろうか。グループとか放り込まれたら黙りこんでる気しかしない。いやその方が楽なんだけど。


「ウェーバーさんからはよろしくとのことですが。」


「仕事を・・・」


いけない。割り込んでまで変な返事をしてしまった。

駄目だ会話スキルが低すぎる。そっちはスキルポイントで振れたりしないのだろうか。探してみないと。


「はい。どのような仕事をお探しでしょうか。」


そんな自分にも落ち着き払って対応するムッカさんがいた。


「すぐ稼げる・・・今日の宿と食事くらい・・・」


「・・・ああ。」


何か察したような、同情する目で見られた。

ノエラといい何だと思われているのだろう、家出少女みたいな扱いなのだろうか。

まあ十何時間か前までは家出した少女とは真逆の、家出れない青年だった訳だが。出れないというか出たくないというか。

引きこもりがストレートでいいなうん。


「しかしLv2となると・・・いくら特殊なスキルが多くあるとはいえ、どのクエストでも危険が大きいかもしれません。」


あ、やっぱりそこはそうなのか。攻撃面は悪くなさそうなのだが、やはり地のステータスが低いのか。

魔法の反動を喰らってばかりなのも、そういう面が大きいのかもしれない。やはりレベルを上げなければ。

しかしレベル上げて教会でスキルを振るにはお金が必要という・・・。うーんこの世界生活が苦しいとそこで詰む人もいそうだな。


「そこでパーティーを組むことを推奨したいのですが、どうでしょうか?」


パーティーって他人と冒険するという、あのパーティー・・・?え無理しぬむり。

実際ネトゲやっててもパーティー組みたくない人のほうが多いと思います。

いやじゃあなんで他人と協力するゲームやるんだよってなりますが。

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