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07

 塔の通りから少し離れた場所に女の子を連れてきたグルリポが周囲を見回していると、避難をしていたであろう女性が泣きながら駆け寄ってきた。



「ありがとうございます! うちの娘を!」

「足をケガしてるから、少しでも遠くに逃げるんだ。俺は……」



 グルリポのすぐ背後を、装備でガッチリ身を固めた男たちが、ゾロゾロを歩いていく。


 その顔はグルリポが全員知っている顔――ギルドの仲間だ。



「グルリポさん、予定よりも早いけど、開いた穴が予想以上に大きかったから、今からいきますよ」

「俺たちが塔治者を倒して、国から功労金をせしめてやるぜ!」



 男たちは軽い調子で笑いながら、急ぐでもなく歩いていく。



「リーダーがいれば安心だな」



 全員が立ち去った頃、一人残されたグルリポは壁を拳で殴った。



「くそっ、どうすりゃいいんだ……」



 自分の命が一番大事だ。


 新米の塔破者など、ギルドのカモでしかない。


 すべてが上手くいくように、賄賂を使って色々と画策してきたのに、シロクのあの優勝から、すべてが狂い始めている。



「俺はどうしたいんだ……。塔破者の俺、ギルドの俺……ただの一人の男としての俺」



 グルリポは背中の剣を抜く。



「シロクさえ、いなければ……!」



 抜き身の剣を手に、グルリポはすでに塔破者以外の避難が終わっているであろう塔へと戻る。



「俺の計画を、夢を……邪魔しやがって!」

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