08
ライスタワーがどんな味がするのか食べてみたい。
しかし、これは塔の中で食べるものだ。
それを我慢しながらシロクは指折り計算し始めた。
勇者になるためには強さだけじゃなく、勉強だってできなければならない――グルリポのいうところの、シロクの師匠はそう教えてくれた。
「えっと、使ったお金は」
炭火焼三百ゼン
コロッケ四百五十ゼン
パン六百ゼン
焼き菓子千五十ゼン
ライスタワー五千ゼン
合計七千四百ゼンのお買い物。残り二万と二千六百ゼン。
お腹いっぱい、とまではいかないものの十分な満足感がある。
「腹八分目って聞いたことがある気がする」
ポケットの中にねじ込んだ一万ゼン札二枚とは別の小銭は千ゼン札二枚と百ゼン硬貨六枚。
「腹は八分目でも、お金は使えばなくなるし。やっぱり塔に入らないとダメだよな~」
グルリポの話を信じれば、夜はモンスターが少ないために入る意味がない。
それどころか今日、朝一で入った時だって一匹にしか出会えなかったのだ。
「次に入るには、明日の朝かな」
それまでにすべきことは、装備集め――。
「塔破者たるもの武器が欲しい」
木剣は嫌いではないが、闘技場で使われていただけあって殺傷能力は皆無だ。
ウルルフ程度なら伸せるが、殺せるかどうかは難しいところ。
「武器屋を探そう!」
そうと決まればシロクは、道に迷いながら歩き出した。




