03
「塔破者たるもの、すべて知っておいて損はない情報だが……。今日はそろそろ帰るか」
「もうですか?」
振り返って数回角を曲がれば、すぐに塔に入ってきた受付に繋がるドアがある。
それを知っているシロクは不満顔を隠さなかった。
「理由は二つだ」
グルリポは人差し指と中指を立てる。
「一つはシロクは満足な塔攻略の準備をしていない。回復アイテムや食料、装備だってそうだ。この一階で活動するなら問題はないが、今日は極端にモンスターが少ない。他の塔破者がすでに何匹も殺してしまった可能性があるため、無駄に深入りをしないようにだ」
グルリポは中指を折る。
「もう一つは、今言ったことと重複するが、もしも強いモンスターが出てきたら迷宮が変化して、出口を見失う恐れがある。そうしたら戦う術もない俺たちは、迷子にもなって出られなくなる。つまりは死ぬ」
シロクは渋々頷いた。
絶対に勝てる、なんて根拠のない自信だけはあるが、アイテムや武器がないのも事実だし、なによりこれ以上、モンスターを倒しても素材を持ち帰れない。
「だが、その代わりと言ってはなんだが、塔破者として必要なことを教えてやる。それが俺が教える最後の講義だ」
「必要なこと」
塔破者となって初めて入った塔。
そこで初めてモンスターと戦い、勝利をして金となる魂脈を手に入れることに成功した。
それ以上に必要なことと言えば……。
シロクは出口に向かおうとするグルリポに頷いて了解の意思を伝えて、背中を追いかけた。




