表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説のスナイパー  作者: まこと
95/162

No.95

さて、そろそろ起こしてやるか。

「椎名さん、大丈夫ですか? そこのソファに横に、なった方がいいですよ」

葛原が見せ物として、大いに役立った椎名に手を差し伸べる。

本来ならば、足蹴にしたい所であったが、皆の手前辛うじて堪えた。

「だっ、駄目だ・・・い、痛くて動けないよ・・・」

「そのまま放っておけば、次第に動けるようになるんじゃないか? 無理に立たせると危ないかもしれないぞ」

スナイパーには、椎名に対する哀れみの気持ちなど毛頭なく、ただ床に這いつくばり、悶絶する姿を見ていたいだけなのだ。

「それもそうですね」あっさりと引き下がる。

「しかし、あんなデブを、一発で倒しちまうなんてねぇ。 男は股間を蹴られると、こんなにも痛いもんなのかね?」

静江が悶絶している椎名に、好奇心溢れる眼差しを向ける。

「そんなに強く蹴った覚えはないんだけどな。 もしかして、みんなに構って欲しくてお芝居してるんじゃないの? だとしたら、下手なお芝居だよね」

加害者であるはずの道江が、被害者である椎名を糾弾し始める。

「痛いと思うよ、きっと。 だって、あの人泡吹いて悶絶してるくらいだもん。 でも気の毒だけど、何だかあの姿見てると笑えてくるね」堪らず絹江が吹き出す。

「そうね、洋の東西を問わず睾丸に関する拷問は、数多くあるわ。 それほど男にとって、睾丸は一番の急所になっているのよ」

琴江が椎名を見下しながら、拷問に関する知識をひけらかす。


葛原は少女達の認識不足な会話を聞きながら、一人ほくそ笑んでいた。

ふっ、何を今更。 金的を蹴られれば誰だって痛いに決まってるだろう。 その年になるまで知らなかったとは、実にめでたい連中だ。

だが、琴江に限っては、それなりの知識を有しているようである。

「だ、誰か、お願いします・・・きゅ、救急車を、呼んで下さい・・・」

「駄目よ、それは出来ないわ」琴江が椎名の哀願を却下する。

「救急車を呼んだら、警察の介入も否めない。 そしたら道江が傷害罪で連行されるのよ。 あなた、いいの? 前途洋々の若者を、司法の手に渡して? 前科者になるのよ」

「えーっ、あたし捕まっちゃうの?」

嬉々として椎名の股間を蹴り上げた道江だが、警察の介入までは考えていなかったようである。

「そこは大丈夫よ、心配しないで。 あなたは道江に、自ら股間を蹴れといったでしょう?」

「そっ、そんなこと、いった覚えは・・・」

「いいえ、言ったわ。〝ルール施行を撤回します〟と。 嫌なら、椎名ルールを使えば良かったじゃない。 もしこの事実が知れたら、捕まるのはどちらかしらね?」

残虐非道の琴江が、今まさに姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ