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伝説のスナイパー  作者: まこと
93/162

No.93

策士・葛原と残虐非道の琴江が、口づけを交わしたことにより、静江と道江は涙を流し、うな垂れていた。

そもそもこの二人、葛原に対する恋愛感に対し、微妙な尺度的相違がある。

静江は、思春期にありがちな年上への憧れから来る恋心に対し、道江は幼少期から兄を欲しており、葛原にその擬似家族の代役を割り充てていたのだ。 言わば、兄に対する憧憬の念を恋心と勘違いして、葛原に接触していたのである。

お互い恋愛への経験不足から、その恋愛に翻弄される結果となったのだ。

だが、そんな二人の感傷を嘲笑うかの如く、残酷なゲームは進行していった。

泣き顔の少女達も例外ではなく、ゲームに組み込まれることとなる。

「あ、今度はあたしが王様だ。 じゃあ、えっと、1番が6番を慰める」

静江と道江を気遣い、絹江が下した命令が裏目に出る結果となった。

1番・椎名、6番・スナイパー。

「あ、あの、あまり落ち込まないでよ。 僕が何でも人生のアドバイスをしてあげるからさ」

「誰に向かって口効いてるんですか? 自分の取るに足らない境遇を、俺に重ね合わせて説教しないで欲しいものですね! 人の心配するより、まずは自分の心配でもしたらどうですか?」

いくらゲームとはいえ、社会の底辺に蠢く椎名に説教をされたのだ、スナイパーではなくとも憤りを覚えて当然であろう。

「ああ・・・ す、すいませんでした」椎名が平身低頭で頭を下げる。

「ジミーさん、ごめんなさい! あたし、そんなつもりで命令したんじゃないんです。 ただ静江と道江が落ち込んでるから、元気になって欲しくて・・・それでつい・・・」

「絹江ちゃんは何も悪くないんだから、謝る必要はないよ。 ただ、俺はあいつに慰められたのが、許せなかっただけなんだ」

あいつ呼ばわりの椎名は、激昂するスナイパーからいつ凶器の鉄拳が飛んでくるかと戦々恐々としていた。

そして次のゲームへ。

「おや、あたいが王様だね。 そうね、5番が6番の股間を、力一杯蹴り上げる」

5番・道江、6番・椎名。

愛憎表裏一体とはよくいったもの、完全なる被害妄想から自身を裏切った葛原へ報復を願っての命令であったが、幸運な葛原は神から子孫繁栄の権利を剥奪されずに済んだ。

「あたし一度でいいから、男の股間を蹴ってみたかったの!」

先程までの泣き顔はどこへやら、道江は異性を痛ぶれる行為に満面の笑みを覗かせる。

「し、し、椎名ルール施行ーっ!」

「待って! 今ルール施行権を行使するべきではないわ」琴江が割って入る。

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