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伝説のスナイパー  作者: まこと
91/162

No.91

「椎名ルール」を導入してからの王様ゲームは、軽快そのものだった。

「や、やった! 僕が王様だ! 2番が王様に胸を揉ませる」

2番・葛原。

人生初の王様ゲームで、王の座に君臨した椎名の命令は、欲望をそのまま口にしただけである。

「椎名ルール施行!」葛原が叫んだ。

また次のゲームに移行する。

「あ、俺が王様だ! 5番が1番を罵る」

5番・琴江、1番・葛原。

「この甲斐性なしの似非公務員! 国民の血税の無駄遣いして、恥ずかしいと思わないの! あんたは国家の犬らしく国民に、媚びへつらってればいいのよ!」

次のゲームへ。

「おや、今度はあたいが王様だね。 3番が4番の顔面を殴る」

3番・スナイパー、4番・椎名。

「椎名さん、悪く思わないで下さいよ。 これもゲームだから」スナイパーが、満面の笑みを浮かべながら構える。

「し、し、椎名ルール施行ーっ!」

自身の名が冠せられたルール名を叫び、命拾いをする。

次のゲーム。

「あ、あたしだ。 えーと、5番と1番が一緒に歌を歌う」

臆病者の絹江らしい平和的な命令だ。

5番・道江、1番・静江。

「じゃあ、デーモンズ行くよ」

「あんな時代遅れの歌なんて嫌よ! デスモンにしてよ!」

「そんなに嫌なら、椎名ルールを使えばいいんじゃないかい?」

「何であたしが使わなきゃいけないのよ!? 静江が使えばいいじゃない!」

この時、静江の施行限度数2、道江の施行限度数1であった。

「じゃあ、お互いでルール施行すればいいんじゃないかな?」葛原が提案する。

「もし無くなったら、余ってる人から譲渡してもらえばいいんだし」横目で椎名を見る。

「それもそうね。 椎名ルール施行!」

これで静江の施行限度1、道江の施行限度数0。 スナイパーの施行限度数2、葛原の施行限度数3、絹江の施行限度数1、琴江の施行限度数1、椎名の施行限度数9であった。

圧倒的に、椎名が施行限度数を保有している状況となっていた。

王様ゲームはまだまだ続く。

「また僕が王様だ! 4番が王様にマッサージをする」

先ほどの欲望に満ちた命令で反省したのか、今度は控え目な命令に徹する。

4番・スナイパー。

「椎名ルール施行!」

次のゲームへ。

「よし、今度は俺が王様だ。 3番と1番が口移しで酒を飲ませる」

3番・椎名、1番道江。

「こ、こここれは、ゲ、ゲームだからねっ!」

椎名の興奮は如何ばかりか、道江を目の前にして鼻息を荒げる。

「ねえ、椎名さんのルール施行権が欲しいな。 まだ初めて会った人と、急にキスだなんて恥ずかしくて出来ないよぉ、あたし」

葛原の唇を奪っておきながら、いけしゃあしゃあと恥じらいを見せる。

「えっ・・・ じゃあ、道江ちゃんにルール施行権を譲渡します・・・」

「ありがとう、椎名さん。 椎名ルール施行ーっ!」

椎名にとって、最も不利な展開となったいた。

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