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伝説のスナイパー  作者: まこと
90/162

No.90

皆からの喝采を浴びたスナイパーのナンバーで一巡目が終了し、再び椎名の不協和音のアニメソングを嘲笑い、スナイパーの洋楽ナンバーで締めくくる。 そんなサイクルを三巡続けた時、葛原が待ったをかけた。

「カラオケは一旦ここまでにしておいて、次は親睦をもっと深める為に、王様ゲームをやりたいと思いまーす!」

この変態集団、スケベ心丸出しよ、男ったら欲望の塊りねっ、恥ずかしいったらありゃしないよ、口では拒絶とも取れる野次を飛ばしてはいるが、嬉しさからの表れと判断できる感情が声色から窺い知れる。

「まずはこの棒に平民の番号と王様の印が書いてあるから、みなさんでこの棒を一斉に引きます。 王様になった人はどんな命令でも出来るけど、条件としてはこの部屋の範囲内での命令とします」差し出した右手には、七本の棒が握られていた。

そして各々が棒を引き、道江が初代王座に抜擢された。

「あ、やったーっ! あたしが王様だ! じゃあ、静江がキモいと思われるおっさんにキスをして」

優越感に浸りながら、ライバルを蹴落とそうと躍起になる。

「ちょいと待ちなよ! キモいと思われるおっさんって、あのデブおやじしかいないじゃないかよ! あたいにそんなことさせようってのかい? ふざけるんじゃないよ全く! 人様を何だと思ってるんだい!」

憤怒の形相で、静江が喰ってかかる。

「あれ、男にキスするの得意じゃなかったんじゃないの? それに王様はあたし! 言う事を聞くのがルール。 何なら命令を変えてもいいのよ。 葛原さんの股間を力一杯蹴って。 さあ、どっちがいいかしらね 」

「きいーっ、あんたみたいなメスブタ見てると、反吐が出るってもんだよ!」

一人の男を獲得しようと、少女達が醜い争いを繰り広げている。

「二人とも落ち着いて」葛原が仲裁にはいる。

「王様は名指しで命令するんじゃなく、必ず番号で命令します」

こんな合コンの余興如きで、子孫繁栄を妨げられたのでは、今後の生活に支障を来してしまうではないか。

「そしてもう一つ、今のようにいくら命令でも、生理的に無理な人との接触は避けたいのが人情です。 そこで新たなルール、名付けて〝椎名ルール〟を取り入れたいと思います」

もったい付けた割には、チープで悪意に満ちたルール名である。

「えっ! ぼ、僕の名前が・・・」

顔面蒼白の椎名に、構うことなくルール説明を行う。

「従いたくない命令時には、必ず〝椎名ルール施行〟と叫んで下さい。 そしたら、次の王様選びに移ります。 椎名ルールの権限は一人に付き、十回までが上限です。 もし権限が無くなったら、違う人から譲渡してもらうことも可能です。 いいですね、以上のことを踏まえて再び新・王様ゲームスタートします」

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