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伝説のスナイパー  作者: まこと
85/162

No.85

「お待たせ! 静江、無理言ってごめんね」

残虐非道・琴江の登場である。

か、かわいい・・・!

今宵の合コンの為に、急遽編成した「烏合の衆」が初めて一つにまとまった瞬間である。

男性陣が琴江に心奪われるのも無理はない。

メガネの奥の知的な瞳、品良く通った鼻梁、雪色の肌つやに薄く控え目な桜色の唇、褐色の絹髪。

顔立ちやスタイルにまだあどけなさこそ残ってはいるものの、却ってそこが愚かな男共を惹きつける最大の魅力となっていた。

十代にして、既に完成された女の領域に達しているといえるだろう。

なるほど、確かに静江のいったことに嘘偽りはなかった。

「皆さん、初めまして。 鞘木 琴江です。 静江達と同じ職場で働いてます。 よろしくお願いします」深々と頭を下げる。

「あの、く、葛原 大輔です。 仕事は公務員です、よろしくお願いします。 あ、椅子がなかったな。 今持って来させるから待っててね」

先程までの意気消沈振りは何処へやら、舞い上がりながらも、自身の職種を「披露」する行為にも余念がない。

「あなたが葛原さんですか、噂は静江から聞いてました。 何でも二人はお付き合いしているようで」

えっ!? 静江を見やるが、素知らぬ顔でそっぽを向く。

「い、いやっ、別に付き合ってる訳じゃないんだよ、ほんとに」琴江に対し、慌てて否定する。

「葛原君ひどいじゃないか! あたいに好きだといったのは全部嘘だっていうのかいっ! これだから男は・・・」静江がテーブルに突っ伏し泣き出す。

「そんな、言ったことないだろう」

「うそっ!? 静江とそういう関係だったの? ひどい! あたしの唇奪っといて!」道江も顔を覆い泣き出した。

「あれは道江ちゃんからだろう!」

二人とも泣き真似であることに、疑いようの余地がない。

普段の葛原なら鼻にもかけないところだが、ここは琴江の御前、心象を悪くしたのでは後々の進展に関わる。

このままではまずい。 まずはこの二人を慰める方が先決だ!

「将を射んとせば先ず馬を射よ」昼間、葛原が合コン未経験者の中年二人にレクチャーした教訓を、自身が実践する羽目になうとは思いもよらなかったであろう。

琴江の出現で、静江も道江も両手に花どころか萎れ果て、今はただの疫病神でしかない。

唯一の「女神」と評した絹江ですら錆びれて果て、くすんで見える有様である。

その考えはスナイパーも同様で、静江と道江は元より、あれだけときめいた唯一絶対の女神・絹江ですら疎ましく思えてきた。

いつの世も、現金な男は跡を経たないものである。

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