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伝説のスナイパー  作者: まこと
83/162

No.83

何で俺だけこんな目に・・・

葛原の悲痛な想いを他所に、静江と道江のアプローチは激しさを増すばかりだった。

「葛原さん、あたしシャンプー替えたんだ。 ほら、髪の匂い嗅いでみて」道江が肩まで伸びた髪をなびかせ、葛原に近づく。

「あ、ああ、どれどれ」

葛原も匂いを嗅ごうと顔を近づけた刹那、道江の唇が葛原の唇を塞いだ。

「きゃっ、葛原さんにファーストキスあげちゃった」頬を赤らめ、満面の笑みを浮かべる。

「はは、そりゃどうも・・・」

「きぃーっ、何だい何だい、あんただけ! こうなっら、あたいだって! ねぇ、葛原君、喉渇いてないかい?」

「え、ああ、そういえば」

葛原が焼酎で満たされたグラスに手を伸ばすが、静江がそれを取り上げ自身の口に含む。

水分を摂れと遠回しの忠告に従い、焼酎を飲もうとしたところ、静江に取り上げられるという理不尽な対応に唖然としていると、静江に両頬を押さえられ、焼酎を口から口へと移された。

「あらぁ、ごめんよ。 口移しで飲ませるつもりが、舌まで入れちまったよ。 どうだい、あたいの初めてのディープキスの味は?」妖艶な表情で、自身の唇を舐める。

「あ、ああ、なかなかいい舌技だったよ・・・」疲弊し切った表情で答える。

静江や道江の魅力に気付き、可愛らしいとさえ思っていたのだが、物事にも限度というものがある。

こうまで露骨にアプローチされたのでは、辟易して当然であろう。

男女間の恋愛に対し、何の経験も持ち合わせていない少女達が見せる精一杯の愛情表現の姿である。


と、そこへ静江の携帯に着信が入った。

助かった! これで静江の魔の手から逃れることができる!

「ん、何だい? あたいと葛原君の仲を邪魔するのは、どこのどいつだい? あ、何だ琴江からじゃないか」

「琴江?」

「ああ、今日の合コンに一番来たがってた子さ。 はい、あたいだよ」

よし、これでひとまず休憩できるな。

十代の多感な少女達が、無尽蔵な体力を葛原に向け、息つく間もなく不器用な愛情表現を繰り返す。 男盛りの葛原でも疲弊して当然である。

だが一難去ってまた一難、次は道江の愛情表現が更に激しさを増していった。

「やったぁ、これで葛原さんを一人占めできる」道江が渾身の力で葛原に抱きつく。

くっ、またかよ・・・

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