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伝説のスナイパー  作者: まこと
81/162

No.81

「そろそろ親睦も深まってきたところで行きましょう! 待ちに待った席替えターイム!」

きゃっ、やだぁ、恥ずかしいったらありゃしないよ、嬉しさの表れからか、少女達の黄色い奇声が飛び交う。

「誰かと隣に座りたい人はいる?」

「あたいは葛原君の隣に座りたいよ」

「あたしも葛原さんの隣がいい」

葛原の隣に座る議席権を巡り、静江と道江がエントリーする。

「えっ、俺でいいの? いやぁ、まさに両手に花だな」

明らかに少女達がエントリーしてくることを、察知していた確信犯的な演出である。

だが、それには様々な布石を敷く行為に余念がない策士・葛原の勝利と言えよう。

だがまだだ。 こいつらが何人集まって来ようと所詮、雑魚は雑魚。 絹江なくして本当の勝利は味わえない。

絹江は、葛原とスナイパーの中では、脆さと逞しさを併せ持つ理想の「女神」と化していた。

その女神が隣に鎮座する、これは勝利を収めた者のみが味わえる至福の瞬間なのだ。

「絹江ちゃんは誰の隣がいい?」

自身の隣に座ることを約束されたかのような、軽率な口ぶりで絹江に問う。

「あの、あたし、ジミーさんの隣に座りたいです」

女神はスナイパーに微笑んだようだ。

な、何ぃ!?

葛原に衝撃が走った。 自身の引き立て役に連れて来た男が、あろうことか一番人気の絹江にアプローチされた。 これは最早、飼い犬に手を噛まれるどころのレベルではない。

「えっ、お、俺!?」スナイパーが驚きの表情で絹江を見る。

「はい、あの、駄目でしょうか?」

「い、いや、大歓迎だよ。 さ、隣においでよ」ときめきの絶頂にいるスナイパーが、絹江に手招きする。

「葛原君と絹江が入れ替わればいいだんね。 さ、葛原君隣においでよ」妙に艶っぽい声色で、静江も手招きする。

かくして静江と道江の間に葛原が、スナイパーの隣に絹江が、そして何の変哲もなく窓際に一人取り残された椎名。 滞りなく席替えが済んだところで、合コン後半戦開始である。


「葛原さんにポテト食べさせてあげる。 はい、あーんして!」

「おや、道江が食べ物をあげるなんて珍しいじゃないか。 よほど葛原君を気に入ったようだね。 これは明日は雪が降るよ」

真夏に雪が降るはずがない。 道江が食べ物を分け与えただけで天候が左右されたのでは、地球規模での異常気象で人類の生存が危ぶまれる。

葛原陣営は本人以外は、異常な盛り上がりを見せていた。

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