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伝説のスナイパー  作者: まこと
80/162

No.80

よし、そろそろ潮時だな。

「まあまあ、もうそれくらいにして椎名さんを許してあげなよ。 三人ともかわいいから、変な虫がつかないように彼は本気で心配してたんだよ」

「あらやだよ。 かわいいだなんて、そんなこと言われたら、照れちゃうじゃないかよ。 それに葛原君にあの変な虫を追い払ってもらえたから、安心できるってもんだよ」静江が頬を赤らめ恥じらいを見せる。

「変な虫」の椎名はただ呆気に取られていた。

それもそのはず、葛原に良いところを全て持って行かれたのだ、これを理不尽といわずして何というべきか。 全ては、葛原に楯突いたことに端を発したと言えよう。

「葛原さんは優しいだけじゃなく、口もうまいんだね。 でもお世辞でも嬉しい」道江も食べる手を止め、無邪気に笑う。

「あ、あたしなんて、全然かわいくないですよ。 あまりからかわないで下さい」絹江は先ほどの激昂ぶりとは打って変わり、顔を赤らめながら頬に手を当て目を伏せる。

「からかってないさ。 ほんとにかわいいと思ってるよ」美辞麗句ではなく、本心を述べる。

事実、葛原は少女達の魅力に惹かれ、可愛らしいとさえ思っていた。 待ち合わせ場所に現れた三人の少女達を見た時は、十人並みの容姿に落胆もした。

スナイパーや椎名には、美人など来るはずないと豪語していたのだが、心のどこかでは、静江が美人どころを従えて来ると信じていたのだ。

だがどうだろうか、彼女達と小一時間ほどの交流を経て酒を酌み交わし、互いの身の内をさらけ出してみると、あどけない容姿からは想像も出来ないような大人びた発言や、新たな一面を垣間見ることができた。

静江の卑屈な薄ら笑いに、道江の無邪気に食べる姿に、そして絹江の少女から女への変貌ぶりに。 その全てに魅力を見出すことができたのだ。

「普段出会うはずのない六人がこうして揃ったんだから、もっと楽しくやろうよ。 椎名さんだって、緊張して話せなかっただけなんだからさ。 ね、椎名さん」

「は、はい。 そ、その通りです」今にも消え入りそうな返事を返す。

葛原が最もらしいことをいい、その場を収める。

おい、大輔! いいところだったのに、何で止めたんだよ?

スナイパーが目配せをする。

ごめんなさい、でも大丈夫です。 椎名さんには次の企画で、まだまだ辛い目に遭ってもらいますからね。

葛原もこれに目配せで返す。

葛原に照準を絞られた椎名は、カゴの中の鳥であった。

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