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伝説のスナイパー  作者: まこと
77/162

No.77

警察に取り調べを受ける・・・ 葛原から発せられた言葉が、現実味を帯び始め、額から大量の汗が流れ落ちる。

「いや、け、警察には通報するつもりはない。 ただ彼女達に正しい道を歩ませたいだけだ」

一度発した言葉を撤回する訳にもいかず、苦し紛れな言い訳に専念する。

「彼女達に進言するつもりなら、おやめなさい。 誰もそんなことは望んではおりませんよ。 それにまだ未成年だという確証もない、全ては椎名さんの想像の範疇でしかないのでしょう?」

どんどん窮地に追い込まれていく。

「し、調べる方法はいくらでもあるさ」

「ほう、例えばどんな方法ですか? 椎名さんお得意の特務機関で培った調査方法ですか? 調査依頼なんて、どうせ国土交通省からの交通調査のアルバイトか何かでしょう?」

図星を突かれた椎名に、最早何の反撃材料も残っていない。

「ち、違うっ! 君はあの組織を、侮辱するつもりかっ!」

「あの組織とは、どの組織ですか? 国土交通省ですか? 公安ですか?」矢継ぎ早に浴びせ返す。

「と、とにかくだ、僕は彼女達を更生させたいだけだ。 誰も望んでいないと言われても、僕には言論の自由が保証されているんだ。 彼女達に進言する権利がある。 君にとやかく言われる筋合いはない」

ふっ、何が権利だ。 義務を全うしない者に限って権利を主張したがる。

「そう言うことでしたら、俺は止めませんよ。 ご自身の立場を悪くするだけですからね。 どうぞお好きになさって下さい」

「君は公務員だが、もしこのことが世間に知れ渡ったら、懲戒処分は免れないんじゃないかな?」椎名も負けじと葛原を恫喝する。

「ほう、勝手な憶測で彼女達が未成年だとうそぶき、挙句の果てには国家権力を敵に回すつもりですか。 おもしろい、こっちはあなたの惨めな生活をもっと惨めにする事だって容易なんですよ」

口調こそ丁寧だが、椎名を追い込むことに余念がない。 葛原がシロと言えばシロになる。 椎名への生殺与奪の権利は葛原が握っているのだ。

「椎名さん、これはあなたへの千載一遇のチャンスなんですよ。 それをみすみすドブに捨てるつもりですか? 俺は、あなたにもジミーさんにも幸せになって欲しいだけなんです。 一緒に日の当たる場所を歩きましょうよ」

飴と鞭で揺さぶる。 策士・葛原の真骨頂が炸裂する。

「わ、分かった。 まぁ、彼女達も遊びたい年頃だろうからな」

「ご理解に感謝します」

今、二人の主従関係が構築した瞬間である。

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