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伝説のスナイパー  作者: まこと
76/162

No.76

「椎名さんもトイレですか。 ジミーさん一人で大丈夫かな? 女はわがままだからなぁ」

あわよくば彼女達がスナイパーを逆上させ、場を荒らしてくれているのが理想的である。 そこへ自身が登場し、全てを丸く収める、完璧なシナリオだ。

「椎名さん、ずっと静かでしたけど、若い子ばかりで気に入りませんでしたか?」

椎名を心配する素振りを見せるが、そんなことは毛ほどにも思っていない。 どうせ饗宴の輪に入れず、自身が卓越者であるかの如く振る舞い、その姿に酔い痴れているだけだろう。 醜男によくありがちな思い込みである。

勝手にやっててくれ。 こっちは人数合わせで呼んだだけ、場を壊さなければそれで良し。 いや待てよ、この異分子が存在することによって、皆の結束力が却って高まるかもしれないな。 それならそれで怪我の功名というやつではないか。どちらに転んもこの男は悪役でしかない。

「葛原君、あんた罪な男だね。 あんな子供達を連れ回すなんて」

「ははは、ずいぶん時代掛かった言葉使いですね。 まぁ、椎名さんからすればまだ子供に見えるでしょうけど、若い子も刺激があっていいもんですよ」

「とぼけないでもらいたい。 彼女達の肌つや、発育度、仕草、そのどれもが成人の域を出てない様に伺える。 誓ってもいい、彼女達はまだ未成年だ、そうだろう?」

ふっ、何を今更・・・

静江達が未成年だと言うことは、椎名に指摘される前から気付いていた。

だから何だと言うのだ。 未成年? 大いに結構。

東京での暮らしを有意義に過ごせればそれで良し、彼女達が成人だろうが未成年だろうが、葛原にとってはどうでもいいことなのだ。

「そうなんですか? 俺には年相応にしか見えなかったけどなぁ」

「これ以上シラを切らないでくれないか。 君は、あんな子供達を相手にしてどうしようと言うんだ? 夜遊びを教えて、お酒を飲ませて大人として恥ずかしいと思わないのか?」

そんな子供達に相手にされないひがみから、葛原を道徳で説き伏せ、合コン自体を空中分解させようとしている。

こうなったら、皆道連れにしてやる。

「椎名さん、酔うほどには飲んでないと思いますけど、それは全てあなたの想像の範囲でしょう。 もし仮に彼女達が未成年だとしたら、どうするおつもりですか? 警察に通報しますか? そうなったら一蓮托生、あなたも取り調べを受けることになりますよ」

希薄な人生を送ってきた椎名は、早くも窮地に立たされることとなる。

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