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伝説のスナイパー  作者: まこと
73/162

No.73

「三人ともそんなに魅力的なんだから、会社の男達がひっきりなしに言い寄ってくるんじゃないの?」

葛原が美辞麗句を並べ立て、合コンのキーマンとなる醜女を探し当てる作戦に打って出た。

「そ、そんなことないですよ。 あたしなんてこんなに地味だから、誰からも相手にされないんです」絹江が恥ずかしがりながら謙遜する。

一丁前に恥ずかしがるなんて、なかなかかわいい小娘じゃないかよ。

娼婦しか知らないスナイパーにとって、十代の少女が恥らう姿がひたすらに眩しく、心奪われそうになる。

確かに絹江は、視点を変えれば地味という言葉が当てはまるが、それは飽くまでも現時点での話である。

今はまだ発展途上の段階にあるが、世の中に揉まれ続け、辛酸を舐めきったあたりから女の魅力を兼ね備えてくるだろう。

「あたいなんて、葛原くんに声掛けられなかったら、そのまま枯れて終わりだったよ」

静江もまだ発展途上の段階で、精一杯の背伸びをしているあたり、絹江より一歩先んじている印象を与える。

「道江ちゃんはそんなにほっそりしてるのに、すごい食欲だね。 何か好き嫌いあるの?」スナイパーが気さくに話し掛ける。

自己紹介を終え、コース料理が運ばれて来たあたりから一心不乱に料理を平らげていく。

「ううん、ないよ。 あ、ただ強いて言えば、食べてるときに話し掛ける人は、ご遠慮願いたいかなぁ」それだけ言うと、また食べる始める。

こっ、このくそ女・・・! せっかくこの俺様が話しかけてやってるのに、なんだその態度は!?

新陳代謝が極めて活発な道江は、大食漢の割には痩せており、容姿も静江や絹江よりも頭一つ分抜きん出ていた。 だが色気より食い気を地で行く道江には、恋愛感情が芽生えてくるのはまだ当分先のことであろう。

ここまでの印象で、キーマンはおそらく道江であろうか。 即ち道江を攻略することが、今宵の合コンを攻略することに繋がると言えるのだ。

おい、大輔! まだ分からないのか? キーマンは一体誰なんだ!?

スナイパーが葛原に目配せをする。

ジミーさん、分かりました。 愛坂 道江です! 黙って食べてますが、彼女こそがキーマンです。

葛原も目配せを返す。 今この瞬間、二人の心は異常な繋がりを見せていた。 言葉を発せずとも目配せで事足りる。

よし、道江だな! 後は俺に任せろ。

「道江ちゃんは、この中で誰か好みの人はいるのかい?」

「いないよ。 ただ嫌いな人は一人いるよ。 あたしが食べてるときに何度も話し掛ける様な下衆なあなたよ!」

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