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伝説のスナイパー  作者: まこと
69/162

No.69

午後6時40分。 合コンの待ち合わせ場所に着いた三人は、道行く人々から好奇の視線に晒されていた。

葛原は紺のポロシャツにクロップドのチノパンと、至ってシンプルなスタイルだったが、スナイパーと椎名のファッションは一際異彩を放っていた。

スナイパーは、チェックシャツの裾をジーンズに入れる、隙のない「アキバ系ファッション」で決めていた。

明らかにその体躯と、顔立ちに削ぐわぬスタイルである。

葛原はスナイパーの滑稽な姿を見て、ほくそ笑まずにはいられなかった。 椎名は単なる人数合わせ、そしてスナイパーは引き立て役として誘ったのだ。

顔立ちが良く、常識知らずで、センスが悪い。 自身を引き立てる条件を全て満たしているではないか。

もしこの条件がうまく満たされていなければ、危うく自分が引き立て役に回っていただろう。

そして一番の問題は椎名である。 好奇の視線は、この中年に集まっていると言っても過言ではないだろう。

脂ぎった頭髪は汗で額にへばり付き、肩幅の広いパット入りの上着を羽織り、その下には美少女キャラクターのTシャツ、サイズ感がまるで合っていないジーンズ。

本人からしてみれば、精一杯のオシャレのつもりなのだろうが、どれ一つとっても魅力を感じさせてはくれない。

これでは人数合わせで誘ったつもりが、先方から合コンの約束自体、反故にされ兼ねない。

「大輔、待ち合わせ場所に来るの、早過ぎたんじゃないのか?」痺れを切らせたスナイパーが、葛原に文句を言う。

「いえ、このくらいの時間がベストなんです。 女の子達が時間通りに来ても、俺達が先に待っていたら、待たせてしまって申し訳ないと心理的にこっちにアドバンテージが付くんです。 そしたら、今後の交渉が割とうまく運ぶことがあるんです」

身になるかすら分からないポイントを、コツコツ貯めるのが策士・葛原の得意技なのだ。 そして、その恩恵はかなりの確率で返ってくる。

「あ、来た! あの子達だろ?」椎名も痺れを切らせ、ハイレベルな女を指差した。

「全然違います。 椎名さん、いい加減合コンに対する幻想は捨てて下さい」

「大輔、あの女達だろ!」

「ジミーさんも現実を受け入れて下さい。 あんな綺麗な人達が来る訳ないでしょう」

それからもスナイパーと椎名は、好みの女が通る度に、期待に胸を膨らませ葛原に確認を迫った。

「あ、来ました! あの子達です!」

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