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伝説のスナイパー  作者: まこと
68/162

No.68

「これまでのお話から察するに、お二人は合コンは初めての様ですが、付き合った人数はどれくらいですか?」

「んー、正確には覚えてないけど、五十二、三人だったかな?」

図星を突かれたスナイパーは、名誉挽回とばかりに誇らし気に、今まで抱いてきた娼婦の人数を挙げる。

妙に現実的な数字だが、葛原に見え透いた強がりは通用しない。

「すごい数字ですね。 俺はまだ三人としか付き合った事がないですよ」

「それだけ? 僕なんか今まで、二百人以上の美少女と付き合ってきたよ」

椎名は二人に対抗しようと、今は亡きフィギュアの個体数を挙げた。

これは見え透いた強がり以前の問題である。

「それだけ経験があるなら、今夜の合コンは問題ないですね」指摘する気すら失せ、冷たく突き放す。

「そうだ、あと一つだけ問題があるんですけど、女の子の中で一番ブスな子、その子は合コンをする上で極めて重要な存在です。 その子をないがしろにすると、他の子に話を振り、女の子同士で会話が盛り上がります。 結果的に男が取り残される羽目になり、非常に肩身の狭い思いをすることになります。 そうならないようにブスな子には積極的に話しかけ、女の子同士を引き離しに掛かって下さい。〝将を射んとせば先ず馬を射よ〟ってやつです」

「そんなの考え過ぎじゃないか?」

「いいえ、お二人は知らないでしょうけど、女の子同士の団結力は相当なものです。 この失敗で煮え湯を飲まされたことが何度かありました。 いいですか? 一番ブスな子がキーマンです。 逆にその子さえ攻略すれば、円満な合コンになることは間違いないです」

経験者は何とやら、場数を踏んだ者の自信に満ち溢れたレクチャーに反抗心を抱いた二人だが、何かに付け、意見しようにも経験や判断材料が著しく欠如していたため、不貞腐れて聞いていることしか出来ずにいた。

「ブスな女の話ばかりするなよ。 合コン前からテンションが下がってくるだろ。 大輔が約束した女が中の下くらいで、他の女はかわいいかもしれないじゃないか?」

「それはあり得ません。 女の人は自分を引き立てるために、自分より容姿が劣る子を連れてくるのがセオリーとなっているんです。 かわいい子を連れて来るケースもあるけど、確率にして20%くらいでしょうね」

葛原に理想と現実のギャップの差を突き付けられ、げんなりしたまま「合コン攻略作戦会議」が幕を閉じた。

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