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伝説のスナイパー  作者: まこと
67/162

No.67

「俺が今夜約束した合コン相手は、中の少し下だと思って下さい」

場の雰囲気が和んだところで本題に入る。

始めは椎名の頬にくっきりと手形がスタンプされ、腫れていることを訝しんだが、次第に気にならなくなっていた。

今夜の合コンに支障を来たさなければそれでよし。 元から肥っているのだ、多少顔が腫れてても問題ないだろう。

葛原にとって椎名は即戦力ではなく、単なる人数合わせとしか考えていないのだ。

「それじゃ行ってもつまんないじゃないかよ!」

「僕も忙しい時間を割いて付き合うんだよ。 そんな平均以下の子と話したって何の面白みもないよ」

「ちょっと考えてもみて下さい。 可愛い子だったら、合コンなどしなくても、次々と新しい男が順番待ちしてる状態なんですよ。 そしたら必然的に平均以下の子が残る結果になるのは自明の理なんです」

合コンに対し、理想を抱く二人に辛辣な言葉で説き伏せる。

「それでも僕達にも女の子を選ぶ権利くらいあるだろう」

「はっきり言ってないです。 ちなみに椎名さんは今おいつくですか?」

「え、四十二だけど」

「論外ですね。 その年になって、若い子と同じ席で話が出来ること自体幸運だと思って下さい。 いいですか? 椎名さんは選ぶ側じゃなく、最早選ばれる側なんです。 そこを認識して下さい」

うな垂れる椎名を他所に、今度はスナイパーを見る。

「ジミーさんは今おいくつですか?」

「俺? 三十三だけど」

「ジミーさんならまだギリギリで選ぶ側に入れますね」

葛原が中年二人をふるいに掛ける。

「お二人の旬の時期は、もうとっくに過ぎてるんです。 今日の出会いはすごく大切な出会いなんですよ。 女の子からアドレスを聞いて、その子の友達を紹介してもらう手段だってあるですから」

「でもさ、大輔はそんなことして女の子に悪いと思わないのか?」

「うん、僕もそう思う」

はぁ、何を言うかと思えば。

世迷い事を言う者は、いつの世も後を経たないものである。

「いいえ、思いません。 人生もそうですけど、男女間も権謀術数の世界に生きてるんでよ。 そんな初めて出会って、すぐ最良のカップルになること自体ゼロに等しいんです。 合コンにロマンスを求めちゃいけません」

これにはスナイパーも、椎名もぐうの音も出なかった。

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