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伝説のスナイパー  作者: まこと
63/162

No.63

「ごうこん?」

スナイパーが日本に滞在して約2ヶ月経つが、未だにサブカルチャー的言語は理解できずにいた。

「合同コンパ。 男と女が出会いを求めて、楽しくお話をする集まりですよ」

「ああ、スピードデートみたいなものか」

「スピードデートって何ですか?」

「男と女が五対五くらいで集まって、ペアを決めて5分間トークしたら、また次のペアを決めてトークするシステムなんだ」

「ちょっと違うけど、ニュアンス的には合ってますね。 ジミーさん、顔が整ってるから絶対モテますよ」

豚もおだてりゃ何とやら、スナイパーをその気にさせようと画策する辺りに、策士・葛原の本気度が伺える。

事実、スナイパーは整った顔立ちをしていた。 常識が備わり、小綺麗な格好をしていたら、女からの接触が絶えなかっただろうが、現実は正反対だった。

これも全てスナイパーという特殊な職業に身をやつした者の運命なのかもしれない。

「大輔がそこまで言うならいいよ」

スナイパーが策士・葛原の罠にまんまと掛かった。 葛原は小躍りしたい心境だったが、済んでのところで堪える。

「ありがとうございます。 あともう一人いればいいんですけどね。 ジミーさんの友達に誰かいませんか?」

「いや。 アメリカにはたくさんいるんだけど、日本に来てまだそんなに経ってないから、大輔しかいないんだ」

何の強がりか、居もしない友人をでっち上げ、唯一の親友、葛原にさり気なく自慢する。

「俺も転勤してきたばかりだから、友達はジミーさんしかいないんですよ」

故郷に残してきた交友関係を除けば、東京での条件はお互い同じである。

これでは合コンに参加する以前に、人数不足で企画倒れになってしまう可能性が濃厚になってきた。

葛原もそうだが、スナイパーこそ出会いに最も飢えているといえるだろう。

スナイパーは、今までその特異な職種と性格から女と付き合ったことがなかったのだ。

恋人が出来れば、当然刺客に命を狙われる危険性が極めて高い。 そんなリスクの大きな付き合いはできないと、女を遠ざけてきた。

その結果、女への免疫が思春期の少年レベルにまで落ち込み、トークやスマートな立ち振る舞いができず苦悩していたのだ。

鶏が先か卵が先か、スナイパーは負のスパイラルを堂々巡りしていた。

「そうだ、一人いるかもしれないぞ」

スナイパーがろくでもないことを思いついたようである。

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