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伝説のスナイパー  作者: まこと
55/162

No.55

四人の似非ストリートダンサーは、後頭部を強打し、動かなくなった美香を見て、たじろいでいた。

「死んじゃったの・・・? この人」メンバーの中でも一際臆病な絹江は、自分達が美香を死に追い遣ったのではと、怯えながら言った。

「あ、あの女が勝手に頭打って死んだだけじゃないか。 あたい達が悪いわけじゃないじゃないんだよ。 第一、あたい達の動きに従いて来れない素人が、いっぱし気取って真似するのがいけなかったんだよ!」

リーダー格で卑怯な静江は、自身で踊れと焚き付けておきながら、犯罪に巻き込まれまいと、無謀な試みを演じた美香を糾弾し始めた。

美香の運動神経は悪い方ではなかったのだが、彼女達の振り付けはセオリーを無視した変則的な動きだった為、それに対応できず、このような惨劇を生んだのである。

「でもさ、さっきはすごい音したよね。 ゴッ!って、とても人間から出た音とは思えないもんね」

そのときの生々しい音が、メンバーでは飛び抜けて大食漢である道江の言動により、再び甦ってきた。

美香がコンクリートに後頭部を打ったときの音は、それほど凄まじいものであった。

あの音は忘れようとしても、なかなか忘れられるものではない。

「それよりどうするんだい? これ・・・ ここに置いてたら、あたい達が疑われるってもんだよ。 どっか棄てに行かなきゃならないねぇ」

静江が美香を「処理」する提案に誰も反対意見を言い出す者はいなかった。

「でも、どこに棄てるの? 死体を持って歩けば、すぐ捕まっちゃうよ」いかにも臆病者の絹江が考えつきそうな消極的意見だが、それも一理ある。

「そんなもの、少し離れた生垣にでも棄てれば、明日にはゴミ収集車が来て回収してくれるってもんだよ!」

静江の稚拙な考えで物事がうまく運べば、日本は今頃無法地帯と化しているであろう。

「道江、あんたは足持って。 絹江は腕を持って」静江が陣頭指揮を執る。

「合点。 これが終わったらみんなで、どさんこラーメン食べに行こうよ」

「ほんと、あんたは食べることばっかだね」静江が醒めた視線を送る。

道江が美香の足を掴もうとした時「それに触っちゃダメ!」

メンバー内で誰よりも残虐非道の琴江が叫んだ。

「その死体に触ったら、指紋が付いてしまう。 それに死体遺棄する静江の考えには賛成だけど、そんな浅はかな計画じゃリスクが大き過ぎるわ」

「じゃあ、どうすりゃいいってのさ?」

琴江に計画の稚拙さを指摘された静江が、腹を立て食ってかかる。

「屋上に運ぶわ」

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