表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説のスナイパー  作者: まこと
49/162

No.49

「かっぱ寿司」で日本の味を堪能したスナイパーは、ご満悦であった。

葛原から差し出されたビントロがよほど気に入ったのか、気が付けばビントロばかり二十皿も食べ続けていた。

これには葛原も呆気にとられ、ただただ黙ってスナイパーが食べる様を見ているだけだった。

しかし、三十皿目をピークに、食べる速度が遅れ始めてきた。

「ジミーさん、大丈夫ですか!?」

スナイパーの顔色がみるみる青ざめていく。

「うん・・・なんでもない」

喋るのも苦痛であろう。

「食べ過ぎなんじゃないですか? しかも同じ物ばかり。 違う物を一緒に食べたり、お茶も飲んだ方がいいですよ」

うるせーな、俺に話しかけるな。 もっと食ってやるから覚悟しとけよ。

スナイパーの中には、自分を格下へと追いやった葛原へ対する復習心でいっぱいだった。

寿司は美味しかったのだが、それよりも寿司を食べることで、葛原に散財させる目的の方が濃厚であったのだ。

そして、悲劇は突然にやってきた。

沈黙し、脂汗を流しているスナイパーが突如嘔吐した。 今まで葛原に散財させようと食べてきたビントロ三十六皿分を、吐瀉物として盛大にテーブルの上にぶちまけたのだ。

昼間の嘔吐といい、本日二度目の嘔吐である。

寿司の中でも一際脂分の多いビントロを大量に食べたのだ、吐いて当然であろう。 スナイパーの認識不足が招いた悲劇である。

横のテーブル席でスナイパーの豪快な嘔吐ぶりを見ていた客が連鎖反応的に嘔吐した。 始めの小火が大火へと拡大するのに、大した時間はかからなかった。 スナイパーの嘔吐を見ていた客が、次から次へと嘔吐を繰り返していったのだ。

今や店内のほとんどの者が「もらいゲロ」に感染していた。

小火の張本人は、自身の吐瀉物を前に縮こまり俯いている。

幸いにも、葛原はほとんど寿司を食べていなかったので、被害は免れることができたのだ。

「ジミーさん、大丈夫ですか? とりあえず表の空気でも吸ってきましょう」葛原はスナイパーを抱え、修羅場を後にした。


そして、ここに無銭飲食のコンビが誕生した。

スナイパーが盛大に食べ、胃のキャパシティを超え嘔吐する。 周りに吐瀉物を見せつけ、伝染させる。

阿鼻叫喚の店内からスナイパーを介抱しようと、葛原が表に連れ出し逃走する式図である。 スナイパーにとって分が悪いように思えるが、始めに吐いた方が悪いのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ