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伝説のスナイパー  作者: まこと
46/162

No.46

ご馳走するだなんて、ずいぶんしおらしくなったじゃねえか。 このバカも、今回のことがよほど応えてるんだな。 まあ、札束持ってきたとしても許すつもりはないけどな。

「それなら、今日はチャーシュー麺にトッピングで煮卵、それとおつまみセットも付けてもらおうか」

おごられることに免疫のないスナイパーは、普段食べられないメニューを要求しようとする、浅はかな考えに陥っていた。

「今日は幸楽苑は止めて、もっといい所に行きましょう。 ジミーさんに迷惑かけたんだから、奮発させて下さい」

相手は策士・葛原である。 真摯な眼差しの裏に、何か得体の知れないものが隠されていてもおかしくはないのだ。

「じゃあ、そういうことなら大輔に任せるよ」

「そうと決まれば、家に戻って着替えましょう。 7時に玄関前集合で!」


スナイパーは舞い上がる気持ちを抑え切れずに、鏡の前で微笑んでいた。

ユニクロで買った服の中で、一番お気に入りの服に着替えるのも忘れてはいなかった。

考えてみれば日本に来て「幸楽苑」以外の場所で、食事をするのは初めてである。

そして何より、今まで友と呼べる存在がいなかったスナイパーにとって、人から何かをおごられる事など皆無だった。

二重、三重の喜びのもと、舞い上がらずにはいられないのも無理からぬことであった。

「これでよし!っと。 まだ6時前か。 あのバカ、どこに連れてくつもりなんだろうな? 別に気にはならないけど、心の準備ってものがあるからな!」

期待に胸が張り裂けそうだという表現が、ぴたりと当てはまる心境である。

「あ! 大事な物を忘れるとこだった! またあのバカに服を捨てられたら困るからな」

葛原によって、ゴミ収集車に回収された服をすんでのところで奪回に成功したが、ゴミの饐えた臭いが染み付いた服を洗濯したのだが、まだ臭いが残っている。

またいつ葛原に処分されるか分かったものではない。 念には念を入れ、クローゼットに隠すことにした。


午後7時。

「おまたせしました。 さすがジミーさん! 何を着ても似合いますね」

「ふふっ、止せよ。 ほめたところで何も出ないぞ。 あ、そうか、今夜は大輔にご馳走してもらうんだったな! よろしく頼むぜ」

この夕食のためにスナイパーが選んだ服は、半袖のチェックシャツをツータックチノに入れた、アキバ系スタイルでは割とシンプルなものだった。

「俺に任せてください。 とっておきのものをご馳走しますよ。 では行きましょう」

葛原が先頭に立ち、スナイパーを案内した先は「かっぱ寿司」だった。

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