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伝説のスナイパー  作者: まこと
45/162

No.45

策士・葛原にとって今日という日は、有意義な一日であった。

ユニクロのファッションショーでは、アキバ系スタイルのトップデザイナーとして一炊の夢を見ることができた。

そして何よりの収穫は、スナイパーの慌てふためく姿であった。 必死にゴミ収集車を追いかけていたときは、腹がよじれるほどであった。 肝心な場面でタイヤがバーストしたのは残念だったが、それとて十分な饗宴であった。

スナイパーの身体能力もさることながら、大部分はオタク系必携アイテムである、ダンロップのスニーカーのおかげではないかと意味のない推察をしていた。

一方、スナイパーにとっては散々な一日であった。

熱中症で倒れながらも辿り着いたユニクロのファッションショーで、新たな自我を発見した矢先に、長年愛用していた服を葛原に処分されそうになり、必死にゴミ収集車を追いかけた。 清掃職員にゴミを投げ付けられながらも銃でタイヤをバーストさせ、収集車を停めさせた。

無事に服を取り返せたものの、他のゴミと混ざり合い強烈な悪臭を発していた。

そして清掃職員はスナイパーの手によって、痛めつけられたことはいうまでもない。

双方同じ帰路に就いてはいるが、二人の思考は対照的であった。

しかし、今日はこのバカのおかけで疲れたな・・・ こいつ、何笑ってるんだ? アホ面が余計アホに見えてきて、イライラするな。

「ジミーさん、ほんとに今日はすいませんでした。 大切な服だとは知らずに、処分しちゃいそうになって」

今まで格下だと断じていたこの男が、いつの間にかスナイパーと肩を並べる同等な存在に急成長していることに気付かされた。 そして、策士・葛原としての片鱗を窺わせるに十分な事件であった。

「もう過ぎたことだからいいよ。 しかし、すごい臭いだなこれ・・・」ゴミの饐えた臭いをもろに嗅いだスナイパーは、暑さや疲労も手伝ってか、我慢できずに胃の内容物をすべて吐き出してしまった。

屈強なスナイパーにあるまじき失態である。

それを見た葛原はまた笑い出しそうになったが、すんでのところで堪え、悲しそうな顔をする。

「大輔、そんな悲しそうな顔をするなよ。 服はまた洗えばいいんだからさ」口を拭いながら、荒い息で葛原を励ます。

くそっ! なんで被害者の俺が、こんな奴に気を遣わなきゃならないんだ!

スナイパーはまだ葛原の本質に気付いてないのだ。

「あの、ジミーさん、今日は迷惑かけたので、夕食をご馳走させて下さい」

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