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伝説のスナイパー  作者: まこと
41/162

No.41

トップデザイナー・葛原に薦められた服を、すべて購入したスナイパーはご満悦であった。 今この瞬間から、トップモデルとして新たな人生が始まることを実感しているのだ。

負担になるだけのコートを脱ぎ、ダンロップのスニーカー、裾が短めのケミカルウォッシュパンツにチェックシャツを入れた定番スタイルで身も心も軽やかになり、両手いっぱいに持った袋すら軽く感じられるくらいである。

葛原もスナイパーの見事なまでのアキバ系ファッションの着こなしに、ただ脱帽するしかなかった。 シャツのよれ具合、大きさ、パンツの裾の短さまで、すべてを完璧に演出しくれたのだ。 スナイパーの持ち切れなかった荷物を持たされているが、それすらも苦ではなかった。

「あとは小物があるといいですね。 バンダナや指貫グローブとリュック、メガネもあると最高です。 それとユニクロだけじゃ限界があるから、次回は〝しまむら〟に行ってみましょう」

ユニクロでのファッションショーは大成功を収めることができたスナイパーと葛原、次回は「ファッションショップしまむら」を視野に置いているらしい。

「その舞台はユニクロに匹敵するのか?」スナイパーがいつになく緊張を覗かせている。

「ええ。 次回は購入層がぐんと幅広くなり、デザインももっとディープなものになるでしょう。 ジミーさんより更にレベルの高い強者が現れるかもしれません」

落胆しがちになる葛原を励ますように明るい口調で応える。

「どうしたんだよ、デザイナーさん。 俺たち二人が揃えば最強だろ! 落ち込むなんて、らしくないじゃないか」

「そうでした、危うく自分の可能性を否定するところでした。〝しまむら〟を制したら、今度は本場秋葉原、その次が世界です」

ユニクロの狭い試着室で着替え、従業員や客に笑われただけの二人が無謀にもアキバ系ファッションという、もっとも需要が少なく皆が敬遠して通る道を敢えて突き進み、世界に躍り出る気でいるらしい。 門前払いされるのが関の山である。

灼熱の暑さも手伝ってか、二人が正常な判断を有するまでにまだ時間がかかりそうである。

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