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伝説のスナイパー  作者: まこと
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No.4

空港を出たスナイパーは、早くも今回の潜伏先であるホテルを探して東京の街を歩き回っていた。

ここが日本の首都か。 この街には何人の同業者がいるんだ?

完全に職業病である。

全米を飛び回り、様々な都市を歩くスナイパーにとって、その街の同業者の存在をリサーチすることは必須課題である。

昔、同業者のテリトリーに侵入し、いらぬ諍いを起こしたことがあった。 それからは無駄な争いは避けるよう、その街の情報を常にリサーチしているのだ。

そして、スナイパーにとってのホテル選びも、これまた重要な必須課題の一つと言えよう。

裏通りで狙撃をされる心配がなく、都会の死角になり、すぐ逃走経路を確保できる場所、この条件が全て満たされているのが理想的と言えよう。

そんな条件が整ったホテルが・・・あった。「東横イン」ここだ!

ここを当分の潜伏場所にするか。

2時10分、チェックインするにはまだ早すぎる。 昼間よりも夕方以降の方が宿泊客に混じることによって、自身の印象も消せるだろう。

それまでこの街の地形を調べておかねば。市街戦を考慮してのことである。


しかし暑いな・・・日本は、なんでこんなに暑いんだ! みんなよく平気で歩いてられるな。

コートの中は汗まみれである。

今まで乾燥した気候でしか暮らしたことのない男にとって、日本の高温多湿な環境は想定外であった。

苦しいな、息が・・・まるで水を吸ってるようだ!!

無理もない、本日の東京の不快指数は100%を超えているのだ。 そんな日にコートを着て歩くという行為は、いくら屈強なスナイパーと言えども体力を削らざる得ない。

そして何より目立つ。衆人環視の目が皆スナイパーに向けられている。

日本に着いてから、何で皆そんなに見てくるんだ!? そんなに外国人が珍しいのか?

外国人が珍しいのではない、夏にコートを着ている外国人が珍しいだけなのだ。

これ以上目立つ訳にはいかない。

普段から視線に晒されることに免疫がないスナイパーは、恐慌を来たし視線を振り払うかのように走り出した。

コートを翻し走るスナイパーの姿を見た民衆は舌を巻いた。 明らかに人間の考え得る速さではないのだ。

しかし、その驚異的な走りも虚しく、無駄に体力を浪費していくだけであった。

ふう。 人通りがなくなった通りに差し掛かり、安堵のため息を漏らす。

ここまで来れば安心だ。

ドサッ! そんな中スナイパーが倒れた。

熱中症である。

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