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伝説のスナイパー  作者: まこと
38/162

No.38

それは瀟酒な建築物ばかりが建ち並ぶエリアにおいて、明らかに垢抜けた印象を与える外観である。 赤い看板には白文字で「UNIQLO」とあり、建物も白一色とシンプルな造りになっている。 厳かな雰囲気の「ブランドストリート」とは一線を画し、賑やかな雰囲気を醸し出していた。

「・・・ここなのか?」

葛原に肩を支えられたスナイパーが、息も絶え絶えに問いかける。

「はい・・・到着しましたよ。 長い間お疲れさまでした。 さ、早速中へ入って早く涼みましょう」

スナイパーを支え続けた葛原も、やはり汗が滲み出ている。


中に入るなり二人は驚愕した。 空調設備が隅々にまで行き届いているのだ。 人間とは、文明とは夏をも忘れさせる究極の発明を成し遂げることができたのだ。 自分達がその恩恵に与かっていることへの感謝の念を感じずにはいられなかった。 もっともスナイパーがコートを脱いで外出していれば、目的地まで何事もなく到着していたことに、二人はまったく気付いていなかったのだ。 暑さとは、正常な判断さえをも鈍せる禁断の果実である。

人心地着いたスナイパーは周りを見渡すと、実に幅広い層の購入者がいるのだ。 富裕層から貧困層、家族連れや男女はもちろんのこと年齢、人種と、すべてのジャンルに対応しているのであろう。

へぇ、こんな世界もあったのか。

ここはファッションに免疫のないスナイパーにとって 、妙に安心させる空間であった。

「ジミーさん、大分落ち着いたようですね。 今は大丈夫ですか?」

「ああ、すまない。 迷惑かけたな」

「気にしないで下さい。 さあ、いろんな服を見ましょう」

何をこのバカは一人で張り切ってるんだ。 俺の服を買うのがそんなに楽しいのか? ま、こんな奴に始めから期待してないけどな。

危機を脱したスナイパーは、恩人である葛原に減らず口を叩く余裕が出始めてきたのである。

「なるべく無難なものにしてくれよ」

「任せて下さい。 ジミーさんは背が高いから何でも合いますよ。 あと俺のアイディアも取り入れてみます」

葛原はスナイパーに合う服を選び、サイズを確かめ試着室へ誘った。

やがてカーテンが開き、そこにいた一同が皆スナイパーに注目した。

コンバットブーツからスニーカーへ、カーゴパンツからケミカルウォッシュジーンズへ、コートからチェックの半袖シャツへ。 見事なアキバ系ファッションの誕生である。

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