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伝説のスナイパー  作者: まこと
36/162

No.36

策士・葛原にそそのかさたスナイパーは、その葛原と共に街に繰り出していた。

葛原は七分袖の白シャツにクロップドパンツ、スニーカーと定番スタイルなのに対し、スナイパーは念願だったコートの袖をまくっていた。

これは椎名から借りたが、返すつもりのないアニメDVD・シティーハンターの主人公、冴羽 獠のスタイルを取り入れたものだった。 明らかに違和感がある格好だが、本人からしてみれば、これが精一杯のオシャレなのだ。

スナイパーの格好を見た葛原は、始めは驚いたが、何かに納得したのか、あとはいつも通り笑顔でいた。

スナイパーは、今までオシャレとは無縁の生活を送ってきた。 スナイパーとしての訓練を受け、仕事の依頼を遂行し、常に命を狙われ続け、オシャレに気が回らなかったのが現状と言えよう。

人生の大半をコンバットブーツとカーゴパンツ、ロングコートで過ごしてきたスナイパーにとって、それが肌の一部と言っても過言ではないくらい、そのスタイルに馴染んでいた。

スナイパーは新たな自分に「脱皮」するにあたり、別人になるかもしれないという不安と、明るい未来への期待と心地よい緊張がない交ぜになり、葛原との歩調がつい遅くなりがちになっていたのだ。

「ジミーさん、そんなに心配しないで下さいよ。 俺が立派にコーデしますから」

「コーデ?」

またこのバカは聞いたことない変な言語を話してるのか。

「コーディネート! ジミーさんにぴったりの服装を見繕うって意味ですよ」

俺にぴったりの服装を見繕うという意味で、コーディネートっていうのか? このバカはどこまでいってもバカだな。 救いようがない奴だ・・・

救いようがないのは自身のことであるが、まだそのことにすら気付いてないのである。 減らず口を叩く余裕はまだあるみたいだ。

スナイパーが、葛原の何でもない一言に愚かしい揚げ足を取っているうちに、厳かな雰囲気漂う瀟酒な建物ばかりが建ち並ぶエリアに差し掛かった。

最早スナイパーの中には、自身が別人になる不安や未来への期待、心地よい緊張感は消失し、とって変わったのは、自分が何をされるのか分からない恐怖心だけである。

真夏にコートを着ているスナイパーがよほど珍しいのだろう、洗練されたファッションに身を包んだ男女が好奇の目で見てきたり、笑い出す者まで続出してきた。

恐慌を来たしたスナイパーは、懐の銃に右手を這わせた。

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