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伝説のスナイパー  作者: まこと
26/162

No.26

幸楽苑の一件を境に、スナイパーと葛原の交流が始まった。

葛原の仕事はシフト制らしく、休みもバラバラであった。 顔を合わせれば挨拶をして、帰ってきた時には世間話もした。

スナイパーも、日がな一日中アニメを観ている訳ではなかった。 国会議員である象山院 寅太郎の動向調査を行っていたのだ。 襲撃事件からボディガードが一人減ったが、能見が陣頭指揮を執る警護は完璧そのものだった。


そして互いの時間が合えば、幸楽苑へ行きラーメンを啜った。

葛原がイニシアティブを掌握したが、本人はまるでその自覚がなかった。 煮卵を半分分け与えただけなのだ、自覚がなくて当然である。

葛原に煮卵を恵んでもらったスナイパーは、葛原の優しさに感謝しつつも、心のどこかでは相手を格下に見ていた。 「人畜無害」のレッテルはまだ貼られたままなのだ。

それはスナイパーの妄想世界からも窺い知ることができた。

主人公であるスナイパーとヒロイン役の美香の元に、数年前に死んだはずの親友で、ヒロインの兄役である葛原が黄泉がえってきたのだ。

大した出世劇である。

スナイパーの妄想は支離滅裂を通り越し、収拾が付かない事態へと発展していったのだ。

三人でストーリーを進めるが、スナイパーと美香が10tハンマーでじゃれ合ってる脇で、葛原をアゴで使っていた。

そして毎回三人で敵役である椎名を痛めつけるが、その度に葛原が重症を負い、ピンチのところをスナイパーが助け、美香に惚れられる展開を想像しながら一人悦に浸っていた。

妄想のコアとなるDVDを貸した椎名は、幾度もスナイパーに痛めつけられ、銃弾を喰らい、その度に命乞いをしてきた。

そんな命乞いする情けない男に、DVDは返すつもりはないらしい。

「悪人デブ椎名にシティーハンターは渡さないっ!」

犯罪者である自分のことを棚上げしての言動である。 いい迷惑とはこのことであろう。

スナイパーの中のランキングでは、映えある第一位が美香、かなりの得点差が付いて二位が葛原。 椎名は絶対不動の最下位を独占していたのだ。

そして椎名のDVDコレクションから、シティーハンターが消えた。

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