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伝説のスナイパー  作者: まこと
25/162

No.25

死んだ親友の墓参りに行かなかったから、死後の世界から黄泉がえってきたのか!?

驚愕の表情で葛原を見やる。 スナイパーの妄想はとどまることを知らない。

「ご一緒していいですか?」葛原がスナイパーの向かいに座る。

「えっ、ああっ、どうぞ」

ちっ、邪魔な奴だ。

いつもは相席を好まないスナイパーであったが、葛原には「人畜無害」との判断を下したのだ、目の前にいても脅威とはなり得ない。

「こんな時間に食事ですか?」

「珍しく連休が取れたんですけど、どこにも行く所がなくて家にこもってたんですよ。 気がついたらこの時間だったので、ちょっと遅めの夕食に来たんです」

へぇ。 スナイパーにとってはどうでもいい会話であった。 今はこれから来るであろう、味噌野菜ラーメンを食べることが最優先課題であった。

「葛原さんは注文決まったんですか?」

とりあえず聞いといてやるか。

「んー、そうだな。 よし! 味噌野菜ラーメンとトッピングで半熟煮卵にします!」

それを聞いたスナイパーに衝撃が走った。

煮卵・・・そうか、ただラーメンだけを食べるのではなく、その上に様々な食材を乗せて違う観点から味わうテクニックもあったのか! しかも、このバカ俺と同じメニューをオーダーしようとしてるのかっ!?


やがて二人のもとに同じメニューが置かれ、葛原は驚いた。

同じメニューだったのか!? しかも俺だけトッピングありかよっ・・・

スナイパーは味噌野菜ラーメン、葛原には味噌野菜ラーメンに煮卵が入っていた。

両者同じメニューでも全く違う様相を見せている。 それを見て不憫に思ったのか、葛原が煮卵を一つスナイパーのラーメンに入れた。

「これで同じメニューになりましたね」

思わず涙が出そうになった。 日本に来て、いや、ロサンゼルスで仕事をしていた時でさえも、優しさに触れたことがなかったのだ。

二人は黙々とラーメンを啜った。

最後に煮卵を食べたスナイパーから、とうとう涙がこぼれ落ちた。

「ラーメンが辛過ぎたのかな! へへっ、目がしみて涙が出てきちゃったよ」涙を拭う。

「美味しかったですね。 あ! 俺、葛原 大輔です。 これからは大輔と呼んで下さい」

「大輔、ありがとう」また泣いた。

イニシアティブを策士・葛原に握られた瞬間である。

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