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伝説のスナイパー  作者: まこと
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No.2

6月25日。 L.A空港から、11時間のフライトを経て成田へ。

アメリカでしか「仕事」をしたことのないスナイパーにとって初めての「遠征」である。

空港に降り立ったスナイパーは、早速衆人の注目を浴びることとなる。

奥ゆかしい性格で知られる日本人であるはずなのだが、スナイパーの服装を無遠慮に見ている。

な、なんなんだっ? なんでみんなジロジロ見てくるんだっ!?

当然である。 この日の東京は気温32℃、湿度95%、梅雨真っ盛りな状況下で、異様な雰囲気を醸し出す男が薄汚れたコートを着ているのだ、目立たないはずがない。

「常に目立たず」スナイパーが「仕事」を遂行する上で自らに課した信条であるが、異端児は排除する内向的な日本文化の前に、その信条は脆くも崩れ去るのだった。

警備員がスナイパーを睨みながら、何やら無線で話している。 早くも入国管理官に目をつけられたようである。

そんなこととは露ほどにも思わぬスナイパーは日本の気候に、ただ驚くばかりであった。

なんだこの暑さは・・・まるでサウナじゃねえか。

勝手に汗が吹き出てくる。 コートを脱ぎたいが、銃を携帯しているため、ここで武装解除する訳にはいかない。

飛行機を降りたスナイパーにとって第一関門である入国審査が待っている。

ブザーが鳴るか鳴らぬか確立は2分の1、鳴るなと祈りながらゲートをくぐる。

ビーッ! 案の定ブザーが鳴り響き、警備員が大挙してスナイパーの周りを取り囲んだ。 すでに先ほどまで演習してきたかの様な、見事な陣形である。

祈りは届かず、賭けは入国管理官の勝利に終わった。

「失礼ですが、事務室までご同行願えますか」有無を言わせぬ口調である。


スナイパーの周りには警備員、目の前には入国管理官。 皆久しぶりの獲物に狂喜を隠せずにいるらしい。

検査員に身体検査をされている。

針一本すらも凶器と見なし、押収され兼ねない勢いである。

もちろんスナイパーは強制送還の憂き目に遭うことは間違いないだろう。 いくら屈強なスナイパーと言えど、多勢に無勢ではさすがに分が悪い。

ボディチェックを担当する検査員が強張った表情で、スナイパーの懐に触れた。

「ん? 何だこれ!?」

大胆にも、懐から5発装填の回転式拳銃が出てきた。

周りに緊張が走り、警備員は腰元の警棒に手を伸ばし、距離を縮める。

何か不審な行動を取ろうものなら、容赦なくその正義の鉄槌が振り下ろされることだろう。

ここまで大胆に拳銃を所持している者を初めて目の当たりにした検査員。 人生初の大事件に、驚愕しながら問いかける。

「こ、これは何ですか!?」

「オモチャです」

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