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伝説のスナイパー  作者: まこと
19/162

No.19

衝撃が走るとはこのことである。

こいつ・・・なんで俺のことを知ってるんだ!? 襲撃現場をどこかで見られてたのか!?

あの晩の象山院襲撃事件は、世間の明るみに出ることは一切なかった。

「ちょっと待っててくださいよ!」そう言うや、椎名は自室に取って返した。

やばい! 警察に通報する気だ!

スナイパーは銃に手を這わし、部屋に上がり込む。 弾丸の火薬が湿気ったままだという事にまだ気付いてないようである。

目撃者は始末せよ。 この世界に生きる者にとっての鉄則である。

異様な空間であった。 部屋にはアニメーションのポスターや、キャラクターフィギュアが所狭しと並んでいる。

銃を抜こうとした瞬間、椎名が振り返った。 その手にはコミック本が握られていた。

「これだよ、これ! シティーハンター! ジミーさんが着てるそのロングコート、冴羽さんのコスプレしてるんでしょ? あ、でも袖捲ってないから違うのかな?」さっきまでの陰湿な顔とは打って変わって明るい表情を漂わせている。

シティーハンターとは、八十年代を代表する日本のコミックスである。

「シティーハンター? コスプレ?」

このデブは何言ってやがるんだ?

スナイパーの驚嘆すべき点は、各国の公用語を短期間のうちにマスターするところにあったが、コスプレといったサブカルチャー的言語は、その限りではなかった。

「ああっ、駄目ですよ! 靴のまま上がってきちゃ!」

「ああ、すいません。 まだ向こうの習慣が抜け切れなくて」

ふう、ばれてなかった。

「よかったら、これ読んでみてくださいよ」

スナイパーにシティーハンターのコミック本を手渡す。

「ありがとうございます。 でも私は字があまり読めないんです」

日本語を自在に操るスナイパーであったが、リーディングやレタリングには精通していなかった。

「あっ、じゃあDVD持ってきますね」

なぜこうも頼んでない物を勝手に持ってきたがるんだ、あのデブは?

やがて買い物袋に、DVDを詰め込んで戻ってきた。

「これだったら分かるはずですよ」

もうすっかり興奮して、目が尋常じゃない輝きを帯びている。

「ありがとうございます。 早速帰って観てみます」

スナイパーがスイーパーのアニメにハマる瞬間である。

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