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伝説のスナイパー  作者: まこと
18/162

No.18

ピンポーン・・・ 玄関の向こうで住人の動きが手に取るように分かる。 すべて筒抜けである。 これではプライバシーも何もあったものではない。

やがてドアが開き、中からスナイパーよりやや若い青年が出てきた。

「はい・・・ ど、どなた様でしょうか?」青年は明らかに動揺していた。

眼前に薄汚れたコートを着た無表情の外国人が、生ラーメンの袋を持って立っているのだ、動揺するなという方が無理であろう。

スナイパーの部屋は104号室に決まった。 一階の角部屋である。

他の住人は、今訪問している隣の105号室、そのまた隣の106号室、そしてスナイパーの真上、二階の101号室である。

「初めまして。 隣りに引っ越してきましたジミーと申します。 あの、もしよろしければ、こちらをご家族でお召し上がり下さい」そう言うや、青年に生ラーメンを手渡す。

ラーメン・・・? そばとラーメンの区別が付かなかったのか?

「あ、あの、わざわざご丁寧にありがとうございます、105号室の葛原です。 私もこの春引っ越してきたばかりで・・・見てもらえれば分かりますけど、気楽な一人暮らしなんですよ」

なるほど。 たしかにここから見る限りでは整然としているが、男所帯特有の生活空間であることは窺い知れる。

そりゃそうだ、こんな頼りなさそうな奴が結婚してるはずないもんな。

「これは失礼なことを・・・ あの、このアパートに住んでる方達はご在宅でしょうか?」

「今日は日曜だから、みんないると思いますよ」

「ご親切にありがとうございます」


葛原のもとを後にしたスナイパーは、106号室を訪問した。

チャイムを押し、出てきたのは四十前後の陰湿で小肥りのメガネをかけた男だった。

メガネの奥の眼差しは、見る者全てを険悪にさせる魔力を秘めている。

葛原と異なる点は、スナイパーの異質な姿を見ても、戸惑いの表情を見せなかったことにある。

「初めまして。 104号室に引っ越してきました、ジミーと申します。 よろしくお願いします」葛原のときと同様、生ラーメンを手渡す。

「・・・ はあ、どうも、椎名です」

なんか辛気臭い奴だな。 ここには同居人はいるはずないか。

実際にそうである。

ここから見える範囲ではあるが、神経質なくらいに部屋が片付いており、何のキャラクターかは判然としないが、アニメーションのポスターが部屋中に貼りめぐらされている。

「あの・・・ 聞きたいことがあるんですけど?」

「なんでしょうか?」

「あなた殺し屋みたいな格好してるけど、実際そうなんじゃないんですか?」

な・・・ に・・・ こ、こんなデブにまで!?

住人とのファーストコンタクトで、いきなり核心を突かれた!

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