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伝説のスナイパー  作者: まこと
159/162

No.159

「待たせてすまなかった」戦闘中断を余儀なくされたことを、スナイパーに詫びた。

「かまわねえよ。 どうせおまえの寿命が、数分延びただけだ。 ところで、愛の告白は終わったのかい?」

「ああ。 これで、来月まで死ぬわけにはいかなくなったよ」

「おめでとう。 お祝いに、その幸せをぶち壊してやるよ。 どうせ一生手に入らない幸せなんだろう? ならば、悲しみを味わう前に殺してやるのが、せめてもの優しさだ」

純粋無垢な少女との恋愛が成就されなかった悲しさを、好敵手に向ける。 完全なる逆恨みであることに、当人は全く気づかない。

「そんなこと分からんさ。 まだ何も始まっちゃいないんだからなっ!」またもや、意識の外から左拳を繰り出しながらの発砲。

パンッ!

「ぐぬっ!」スナイパーが呻き声を上げる。

やった! 被弾したかに見えたが、わずかにコートを貫通しただけであった。

「気を抜き過ぎだ!」

グチィ!

スナイパーの左拳が、能見の顔面を捉えた。

「ぎゃっ!」もんどり打ち昏倒するも、すぐさま立ち上がり殴打部を押さえる。

「ちっ! ゆ、油断したぜっ・・・」

弾丸を躱し様に放った打撃は、踏み込みが甘かったため、致命傷にまでは至らず、即死は免れたようである。

いかにスナイパーの魔拳と言えど、タイミングを外せば、その威力は半減する。 しかし、威力が半減しても、やはり魔拳は魔拳。

超規格外の打撃が被弾した右眼窩は陥没し、眼球が潰れ、何とも形容し難い容貌となっていた。 能見が蒙ったダメージは、あまりに甚大であった。

「その顔じゃ、いい男が台無しだな。 来月のデートは、諦めた方がいいんじゃないのか。 女に逃げられるのが目に見えているぞ!」

「ふっ、あ、あんた、知らないのかっ・・・? お、男はな、傷があった方がモテるんだよ・・・ れ、礼を、言わなきゃなっ! いい男に、してくれて、ありがとよっ・・・」

本来ならば激痛に襲われ、戦闘はおろか、喋ることすらままならない状況であるが、強敵を前に虚勢を張らざる得ない。

「まだ余裕があるみたいだな。 だったら、もっといい男にしてやろうかっ!」

再びスナイパーの猛攻が始まる。

「ちっ!」たまらず後退し、間合いを取りながらの発砲。

パンッ! パンッ! パンッ!

世界最速の魔拳を、左目だけで躱すのは不可能である。

「当たらねえぞ! どこ狙ってんだよっ!」

能見の放った弾丸は、スナイパーのはるか頭上を飛弾していった。

「さ・・・ さすがに、か、片目だと・・・ あ、当たらない、もんだ・・・ な」

「さっさと楽にしてやるから、無駄な抵抗はするなよ」

能見に引導を渡そうと、拳銃を構える。

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