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伝説のスナイパー  作者: まこと
157/162

No.157

な、何ぃ・・・!? 驚愕した能見が、声の方向を見やる。

スナイパーである。

壬生と滑川によってダメージを負っているか検分するが、コートが汗で濡れているだけで、ダメージはないようだ。

「う、うそだろ・・・ あいつら、傷一つ付けられなかったのかっ?」

これで能見の勝率はゼロである。

「ま、そういうことだ。 ナイフの大男は無謀だったが、アサルトライフルの奴は、もう少しで殺られるとことろだったぞ」

それだけ聞けば十分だ。 滑川をもってしても、スナイパーを殺害できなかったとは・・・ 残るは能見、ただ一人。

「俺なんかより、ターゲットを追った方がいいんじゃないのか? もうすぐ家に着くぞ」

壬生と同様、殺意のベクトルを依頼主に向けさせる。

「追うまでもない。 今はおまえと闘いたいんだよ。 それに、あんな死に損ない、いつでも始末できるさ。 なんなら、あいつが家に辿り着いたときに、家族まとめて惨殺してやってもいいんだからな」

一家惨殺・・・ 象山院や寅次郎はどうでもいいとして、寅子や寅美にまで危害を及ぼすわけにはいかない。

最早、依頼主のことなど念頭にはないのだ。

「くそっ、やるよ! やってやるよ! あんな死に損ないならともかく、あの親娘にだけは手出しさせねえよっ!」ジャケットを脱ぎ捨て、抜銃した。

その右手に握られているのは、シグ・ザウエルP230。 日本のSPが所持する小型拳銃である。

パンッ! パンッ! パンッ!

能見が、間隙を縫うことなく発砲する。

「うおっ!」抜銃から発砲までの所作が見えていながらも、躱すだけで精一杯である。

「や、やるじゃねぇかよ!」スナイパーも能見に続き、抜銃した。

しかし、シリンダー内には弾丸が残り二発、到底銃撃戦には持ち込めまい。

と、その時、眼前に足甲が迫る!

ゴッ!

コンマ数秒、意識を外したスナイパーが右上段蹴りを打ち込まれるが、かろうじて左腕でガードする。

「なかなかいい蹴りだな!」

左腕の痺れに耐えながら、驚嘆の声を上げる。

右脚着地と同時に、後方上段回し蹴り。 これはモーションを読まれスナイパーに躱される。

反撃を恐れ、咄嗟に間合いを取る。

「これでもまだ、壬生や溝呂木には劣るけどな」

「あんな雑魚どもより、おまえの方が弱いっていうのか?」

「ああ。 あいつらの格闘センスは、一流軍人ですら太刀打ちできないくらいだからな」

プルルルルルッ!

と、その時、能見の携帯電話に、着信が入ったようである。

ちっ、誰だ、こんな時に!? と、寅子さんっ・・・

「ち、ちょっと待っててくれ!」

「かまわねぇよ。 さっさと出ろよ」

着信者は、能見の想い人、寅子からだった。

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