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伝説のスナイパー  作者: まこと
153/162

No.153

滑川を撃破したスナイパーは、その滑川の遺品となったM4A1を手に取った。 何のカスタマイズもされておらず、米軍からの横流し品だと推察できる。

マガジンを抜き、残弾数を調べる。 残り7発 、能見と象山院を抹殺するには、十分過ぎる数である。

スナイパーは常にワンショットワンキル、一撃必殺の名の下にターゲットを抹殺してきたのだ。

M4A1の反動値を確かめるため、滑川の死体に向け発砲する。

ガチッ! ん? ロックが掛かっているらしく、トリガーが引けない。

改めて検分をすると、フェザータッチトリガーだと思われていたが、どうやら違うらしい。

「ちっ、指紋認証トリガーか」


「指紋認証トリガー? なんだそれ?」

耳慣れぬワードに疑問を感じた象山院が、能見に説明を求める。

普段ならば、無関心に徹するところだが、今は自身が助かるための情報を少しでも引き出しておきたいのである。

「銃は通常、引き金を引いて撃鉄が落ちます。 それによって撃針が押され、薬莢部の雷管がその撃針に叩かれて、弾丸が飛ぶ仕組みになっているんです。 万が一、あの男に滑川が突破され、銃を奪われたことを想定して、トリガー部に指紋認証ロックシステムを組み込んだのです。 滑川の指紋、体温、脈拍、この三つのどれか一つでもクリアしなければ、銃を撃つことができません。 そしてスターライトスコープ、これも滑川の右目に付けているコンタクトレンズがなければ何も見えません。 あの銃は他の者が持っていていも、無用の長物でしかないんです」

若き護衛者が、無知な老議員に銃器システムを紐解き説明する。

「何ぞ、よう分からんが、この世でその銃を撃てるのは、あの陰湿男だけなんだろう?」

陰湿男とは滑川のことである。

「はい。 要約すればそうなります」


「使えない銃だな、ちくしょう!」

ガシャンッ! 怒り任せにM4A1を、地べたに叩きつける。

ガーンッ!

「うおっ!」

銃が暴発し、滑川の顔面に被弾した。 爆ぜた左頬が消失している。

一歩間違えれば、自身が同じ目に遭っていたかもしれない。

はあ、思わず安堵のため息を漏らす。

「びっくりしたなぁもう・・・」

怒りに駆られると銃器を叩きつける癖があるのか、初めて象山院襲撃に失敗した夜も、愛銃を地べたに叩きつけ、暴発したのだ。 喉元過ぎれば何とやら、再び同じ過ちを繰り返したのである。


よし、脚にも力が入るようになってきたぞ。 あともう少しだ。

スナイパーの奇襲により、大破したセダンから生還した能見のダメージは、ほぼ回復しているようである。

「なあ、能見。 ワシら、ほんとにこのまま寅子の家に向かっていいのか? 何か間違った方向に進んでるような気がするんだがの」

あ? 能見が殺気を孕んだ目で、象山院を睥睨する。

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