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伝説のスナイパー  作者: まこと
152/162

No.152

スナイパーの進撃により、滑川との距離がみるみる縮まっていった。

92メートル、86メートル、82メートル、75メートル・・・

それに比例して、着弾のバラつきもなくなり、被弾するリスクが高まってきているのも事実である。

左右に回避しながら進んでも、弾丸が体を掠めるようになってきた。

「くっ、ここまでが限界かっ!」

69メートル、もう少し前進したいところであるが、やむを得まい。

回避行動のまま助走を付け、体を沈み込ませるように腰を落とし、脱力から、全身の筋肉を総動員させてのスーパースローイング!

スナイパーが放った鉄柵はロンギヌスの槍と化し、滑川目がけ高速飛来していった!


「まさか、あの棒切れを投げ付けるのか? 勝てないと知って、無駄な抵抗でもすっ・・・」ドンッ! 頭部に、これまでにない強い衝撃が走ったと同時に、条件反射的にトリガーを引いていた。

ガーンッ! 銃撃の反動で仰向けに倒れた。

その滑川の額には、ロンギヌスの槍が深々と突き刺さっていたのだ。

人間は「線」の動きには対応できても、迫り来る距離が掴めない「点」の動きには対応できないのだ。

スターライトスコープ越しで見る映像なら、尚更のことであろう。


本日スナイパーの記録、121.83メートル。 もちろん、これは遮蔽物がいないことを考慮しての記録である。

世界記録を塗り替える快挙を達成したのだが、飽くまでこれは非公式、世間に公表されることは一切ないのだ。


なんだ? なんで星が見えるんだ? もしかして、俺は倒れてるのか? だとしたら、早く起きなきゃ・・・ あ、あれ、体が動かない・・・ それに感覚もないぞっ! どうなってんだ?

額に鉄柵が突き刺さっているのだ、瀕死の重症であることは、誰の目からも明らかである。

「そんなバカな・・・ 頭に柵が刺さっても、まだ生きてるのかよっ!? なんだよ、こいつ! すごい生命力だな・・・」

砲煙弾雨の中、狙撃ポイントに到達したスナイパーが、虫の息の滑川を見て驚嘆の声を上げた。

う、うそだろっ!? い、いつの間にここまで来たんだよっ!?

頭部の損傷により、時間の概念が消失しつつあった。

「こいつ、気持ち悪い奴だな」そう言うや否や、鉄柵を掴み、脳内部をこねくり出した。

「あががががっぎぎぎぎーっ」

滑川が奇声を上げながら、全身を激しく痙攣させ、小脳に達した時点で沈黙し、やがて絶命した。

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