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伝説のスナイパー  作者: まこと
151/162

No.151

ガーンッ! 一発目、被弾せず。

ガーンッ! 二発目、被弾せず。

死の弾丸がスナイパーを捉えるも、そのスナイパーは、視野の狭いスターライトスコープ越しの狙撃手の反応を超える速度で、左右に回避していた。

ガーンッ! またもや被弾せず。

近距離なら、アサルトライフルでも正確無比な狙撃を実現させてきた滑川だが、今夜の相手はあの伝説のスナイパーである。

な、なんだよ・・・ なんなんだよ、あいつ! ほんとに人間なのかっ!? 全然当たらないっ!

滑川は、スナイパーに撃ち込んだ弾丸が事ごとく躱され、驚愕の色を隠せずにいた。

焦りは実力を半減させる。 だが、それも無理からぬことである。

今まで秒速900m/sを超える弾丸を、回避できる者などいなかったのだ。 このイレギュラーな事態に、正確無比な狙撃にも狂いが生じ始めてきた。

ガガガガッ!

フルオートに切り替えるも効果なし。

「ちくしょう! なんで当たらないんだよっ!?」

当然である。 いくら反動が少ない5.56mm弾でも、フルオートで撃てば、200メートル先の標的への着弾は、大きくバラつく。


「ふーっ、あともう少しは近づけそうだな」

砲煙弾雨の中、この幸運がいつまでも続かぬと判断したスナイパーは、雑居ビルの物陰に退避した。

この時、滑川との距離は120メートルにまで迫っていた。

ここからは、フルオートでも着弾のバラつきが減少し、被弾する可能性が高くなる距離である。 左右に回避しながら近づいても、60メートルまでが限界であろう。

その後はどうする? 射程距離外からのロングショットをもう一度実現させるか? 無理だ。 奇跡を信じられるほどの距離ではないし、M36の弾丸は残り2発。 能見戦のために、温存しておかなければならない。

思案するスナイパーの目に、ある物が飛び込んできた。

長さ1メートル強の、先端が尖った鉄製の柵である。 目の前にある完成間近の、洋館風ビルのフェンスに使う資材だろうか。

「これだ!」

その中の一つを手に取り、つぶさに検分する。

鉄柵長1.63メートル、直径10ミリ、重量920グラム。 強度申し分なし。

「悪くない。 これならいけそうだ」

愛銃の代わりに、鉄柵を右手に持ち、再び滑川の前に現れ、走り出す。


「やっと出てきたか。 今度こそ撃ち殺してやるからな! ん? あんな棒切れなんか持って、何しようとしてるんだ? まあ、いいさ!」

再び接近させまいと、狙いを定め、トリガーを引く。

ガガッ! ガガッ!

被弾せず!

被弾せず!!

被弾せず!!!

被弾せず!!!!

相変わらず被弾しないものの、距離を詰めれば詰めるほど、集弾性が向上してきている。

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