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伝説のスナイパー  作者: まこと
150/162

No.150

よし、まずは一人。 格下とは言え、勝てば思わず気が緩む。

ヒュッ! と、その刹那、空を切り裂く音を聞いた。

狙撃っ!

理解してからでは、もう遅い。 人のそれを凌駕するほどの反射神経で飛来する弾丸を回避し、側頭部を掠めビシィッ!

壁に着弾した。

ガーンッ・・・

そして発射音。

あとコンマ1秒遅れていたら、あと1ミリずれていたら、致命傷は避けられなかったであろう。

運が良かった。 ただそれだけである。

仮に弾丸が頭部ではなく、心臓を狙われていたとしたら、絶命は免れなかっただろう。

「あ、危ねえ・・・ も、もう少しだったぞっ・・・」

気を抜いた瞬間を狙った、意識の外からのワンショットである。 如何に伝説のスナイパーと言えども、運に頼るしかない。

だが、この一発で、大まかな情報が入手できた。 発射音から、反動の少ない小口径であること、そして着弾と発射音のずれから距離を絞れた。

2時の方角、およそ250メートル。 銃器はボルトアクションライフルではなく、アサルトライフルであろう。

狙撃ポイントはおそらく、あの雑居ビルの屋上だろうか。

スナイパーが仮定ポイントで、狙いを定めているであろう狙撃手を睥睨する。


「ひゃっ!」スターライトスコープ越しに、スナイパーと目が合った滑川が、怯えながら目を逸らした。

「あ、あいつ、バケモノかっ!? 弾丸を避けた・・・ そんなバカな! 狙撃だぞっ、普通避けれるはずないだろ!」思わず声を荒げてしまった。

「しまった!」慌てて口を押さえるが、もう遅い。

森閑とした地域である。 声を荒げれば、当然居場所を知られる。

「やはりそこだったか!」

スナイパーは長年のキャリアから、滑川のスナイピンクポイントを、正確に割り出していたのだ。

しかし、狙撃手の居場所を知ったところで、状況は何も変わらない。

スナイパーが所持しているS&W M36は、そもそも護身用拳銃であり、有効射程距離は20メートルにも満たない。

先ほどの、象山院を乗せたセダンのタイヤを撃ち抜いたロングショットは、まさに奇跡以外の何者でもないと言えよう。 過去に一度、成功例があるほどなのだ。

一方、滑川が所持しているコルトM4A1は、米軍が正式採用している自動小銃であり、その有効射程距離は、実に500メートル。

ボルトアクションライフルには及ばぬものの、今この場では絶対的支配者に君臨している。

スナイパーのM36のシリンダー内には、弾丸が残り2発、滑川のM4A1の弾倉内には、まだ20発以上の弾丸が残っている。

「ま、まあ、いい。 火力では、こっちの方が上なんだ。 じわじわ痛ぶってやろうじゃないか。 奇跡は二度起きないことを証明してやる」

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