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伝説のスナイパー  作者: まこと
145/162

No.145

「ほう、俺の相手をすると? 冗談にしては笑えないな。 タックルを決めたくらいで勝った気でいるなら、その認識は改めた方がいい」

「冗談かどうかは試してみたらいいさ。 すぐ後悔する羽目になるぞ」

壬生がスナイパーを前に、後方にいる二人の様子を伺う。

世界最高レベルの暗殺者を前に、隙を見せる行為は死に値する。 例えコンマ数秒以下であろうとも、意識を寸断させることは許されないのだ。


「よし! 壬生があの男を引きつけてる内に、早く行きましょう」

事故直後の弱々しい足取りで、能見が依頼人を促し、その場を離れる。

「あ、あのデカブツっ! 従いて来るなと、あれぼど言っとったのに! これは一体どういうことだ?」

「申し訳ございません。 残念ながら私一人の力では、あの男をどうすることもできません。 壬生や滑川が揃っても、先生をお守りすることはできないでしょう・・・」

「じゃ、じゃあ、ワシはただ死を待つしかないのか・・・? ワ、ワシはまだ死にたくないんだっ!」

国民の血税で、人生を謳歌してきた老議員が、余命数時間を宣告されても尚、血税を貪り、醜態を晒すつもりでいるらしい。

「助かる方法はあります。 今から急いで寅子さんの家に行くことです。 暗殺者は、第三者に殺害現場を目撃されることを避けるはずです。 そして今夜、暗殺に失敗したのなら、三度目はあり得ないでしょう」

「わ、分かった。 それなら一刻も早く寅子の許に行こう」

「ただ・・・ 第三者の目の前で堂々と犯行に及び、目撃者を皆殺しにすることもあります。 あの男がどちらに属するかは分かりませんが、おそらく後者だと思っておいた方がいいでしょう」

「そ・・・ そんなっ・・・」

「もう一つだけ・・・ もう一つだけ助かる方法があります」

「何だ? 何でも言ってみてくれ!」

「警察に通報するんです。 先生が命を狙われている旨を伝えれば、千人規模の警官が大挙してやってくるでしょう」

「それだ! なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろうな」

安堵のため息を漏らしながら、懐から携帯電話を取り出す。

「しかし、その方法ではこちらにも危険が及び兼ねません。 我々は飽くまで民間の護衛団です。 拳銃所持、刺客の殺害、それらが全て発覚すれば、死刑台は免れないでしょう。 必ずしも得策とは言えません」

バキバキバキバキッ! 能見は、象山院から携帯電話を取り上げ、握りつぶした。 ディスプレイ上に映る孫の姿が歪み、フェイドアウトした。

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