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伝説のスナイパー  作者: まこと
143/162

No.143

「分かってます。 突破します!」

能見は眼前のスナイパー目がけ、アクセルを目一杯踏み込む。 60キロ、70キロ、80キロ・・・

スナイパーとの距離もそれに正比例し、加速度的に縮まっていく。 100メートル、70メートル、40メートル・・・

「と、突破するって・・・ きゃつに撃たれるぞっ! お、おいっ! ひっ、引き返せっ、引き返せっ!」

もし引き返そうものならば、スナイパーに追い付かれ、38スペシャル弾に撃ち抜かれることは確実である。 スナイパーの身体能力を考慮するならば、下手な小細工は弄せず強行突破しかないのだ。

キセノンライトで目を眩ませ、銃弾を躱しつつ、スナイパーを回避できれば、これ以上にないほど幸運である。 あわよくば、そのままスナイパーを轢殺できたならば、一石二鳥三鳥の効果を生む。

距離20メートル。 最早、轢殺ゾーンに突入している。

逆光の中、スナイパーが目を細めながら銃を構え、トリガーを引く!

カチンッ!

あれ?

カチンッ! カチンッ!

また不発かっ!?

ゼロ距離でセダンを躱し、シリンダー内の弾丸を抜き出し、着地と同時に、スピードローダーで弾丸を装填。 時間にして約2秒、セダンとの距離は50メートルにまで引き離された。

パンッ! パンッ! パンッ!

有効射程距離外で発射された弾丸は、見事に前輪タイヤを破損させる事に成功した。

ドンッ! 制御不能となったセダンは、脇道の街路樹に激突し、そして沈黙した。

S&W M36チーフスペシャル。 ショートバレルでのガンショットは、通常でも10メートル以下、熟練者でも30メートルに満たない。

しかしスナイパーは、愛銃の性能を最大限にまで引き出し、神がかり的なガンショットを実現させたのだ。


「せ、先生・・・ 大丈夫ですかっ? 生きてますか!? くそっ、あいつ・・・ ほんとに人間かっ!?」

いくらエアバッグに護られていたとは言え、急加速で樹木に激突したのだ、ダメージは相当なものである。

「く、首が・・・ 首が曲がらんっ・・・ お、折れたかもしれんっ」

「大丈夫です。 頚骨が折れたら、喋ることすらできませんから。 それより早くここから出ましょう!」

「わ、分かった・・・ あーっ! 寅美ちゃんへのプレゼントがっ!」

衝突時の衝撃に伴い、孫に贈るはずだったプレゼントが、無惨な姿となって転がっていた。

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