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伝説のスナイパー  作者: まこと
138/162

No.138

9月14日、午後5時13分。 象山院の事務所では、能見サイドが最終局面におけるスナイパー対策のミーティングを行っていた。

「俺が調べた限りでは、今夜来るであろう、あのコートの外人、海外では伝説のスナイパーと呼ばれている。 依頼を引き受け、一ヶ月以内に確実にターゲットを殺して除けるほどだ。 その成功率は実に100%、ライフルによるスナイピングから拳銃、ナイフ。 殺しの半分以上は素手、格闘術によるものだとも言われてる」

情報収集能力に長けた陰湿男、滑川の説明が一区切り付いた。

「どうりで。 溝呂木が一撃で殺られるわけだ。 でも、そいつは一ヶ月以内に依頼を果たすんだろ? あれから二ヶ月以上経ってるし、始めの半月は真面目に尾行を続けてたけど、今じゃ姿すら見せなくなったじゃないか。 あんな無様な失態を晒したんだ、もう俺達には近付けないんじゃないのか?」

偉丈夫の壬生が、滑川の杞憂に異を唱える。

「いや、あいつは必ず来るはずだ。 俺の今までの経験では、暗殺者には二つにタイプが別れる。 悪条件下に置かれ、脆くも崩れ去るタイプと、逆境でこそ力を発揮するタイプ。 あいつは間違いなく後者のタイプだ」

能見がスナイパーを過大評価しているが、間違いなく前者のタイプである。

「おそらく象山院は今夜、俺達の護衛を断り、一人で寅子さんの家に向かうだろう。 そうなった時には滑川、おまえだけが頼りになる」

「分かってるよ。 あいつ、魔法瓶の分際で自分の置かれてる立場が理解できてないのはイラつくけど、依頼人だし、尽力を尽くすまでだ」

魔法瓶とは象山院のあだ名である。 日本の家庭用調理器具製造メーカー「象印マホービン株式会社」から抜粋したものなのだ。 もちろんこれは、三人だけの共通呼称であることは言うまでもない。

「今度こそは生け捕りにして、依頼人が園山であることを自白させなければ」

この半年で五度、園山による刺客が送り込まれたが、いずれも射殺、服毒死と自白には至らず、園山が依頼人である確たる証拠を欠いたままであった。

と、そこへ話題の中心人物、象山院 寅太郎が入室してきた。

「先生、ご苦労様でした」能見が立ち上り頭を下げる。

滑川と壬生も渋々それに従う。

「はい、ご苦労さん」

今日は孫の誕生日、素っ気なく答えるが、上機嫌であることが伺える。

「今日はお孫さんの誕生日でしたね、おめでとうございます。 これから寅子さんの家までお送りします」

「それはならん!」

ふっ、やはりそう来たか。

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