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伝説のスナイパー  作者: まこと
13/162

No.13

料亭での会合を終えた象山院と、スナイパーが素人だと判断した秘書は、護衛達が待つ公用車に向かっていた。

議員の会合というと、料亭を想像しがちだが、普段は居酒屋を利用している者がほとんどである。 料亭を利用するのは、今夜みたいな月一回の合同会合くらいなものだろう。

「先生、どうぞ」秘書が料亭から借りた傘を差しかける。

「ああ、すまなんだな」

視界が悪いと思ったら、霧雨が降り出していたみたいだ。


よし、今だ! ターゲットも秘書も傘で視界が狭いはず!

ターゲットとの距離はおよそ50メートル。 走る。重力を無視したかのような走りである。

異変を察知した護衛達が駆け寄るも、スナイパーの猛襲に反応が遅れる。

距離にして約20メートル、自身の安全確保とターゲットを仕留めることができる距離である。

ショルダーホルスターから抜銃、ターゲットへ照準を絞る。 時間にして約0.2秒。

トリガーを引く。

カチンッ!

えっ! 不発!?

スナイパーを始め、すべての者が呆気に取られる。 意表を突かれるとはこのことである。

続けざまに残りの四発を撃ち込む。

カチン、カチン、カチン、カチンッ!

全弾不発である。

我に返り、即座に反撃に出たのが、スナイパーが素人だと判断した秘書だった。

腰から抜銃、パンッ! 発砲する。

「うおっ!」

弾丸がスナイパーの頭を掠める!

完全に自分のミスだった。 秘書だと思っていた男も護衛者だったとは!

不利だと悟るや、すぐ逃げる! プロの鉄則だ。

「待てコラぁ! 逃がさねえぞ!」

象山院の前にいる秘書兼、護衛者が追う!


スナイパーの脚の速さは尋常ではなかった。 100メートルを10秒以下で走る健脚の持ち主である。 両者の距離がぐんぐん引き離されていく。

パンッ!

「うおっ!」

今度はスナイパーの肩を掠める!

ちっ、また発砲してきたか!

スナイパーはプロの習性を利用することにした。 コートやカーゴパンツに入っているパンやソーセージを手当たり次第相手に投げつける。

パンッ! ソーセージが爆ぜる!

パンッ! パンが爆ぜる!

プロは、目の前に飛来してくる物体を撃墜せずにはいられないのだ。

最後のソーセージを投げる。

ガシャンッ!

よしっ! 相手も弾切れだな!

と、その時、後ろから車のエンジン音がする。

もしかして・・・ 後ろを振り返ると、象山院のセダンが迫ってきている。

「能美、乗れっ!」後部座席のドアが開き、痩躯の男が乗車を促す。

「滑川! 助かったぜ!」

護衛者の能美と呼ばれる男がセダンに乗り込み、再び逃走開始である。

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