表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説のスナイパー  作者: まこと
129/162

No.129

スナイパーを囲んでの「悲しみの饗宴」では、スケープゴートである椎名を虐め抜く事に従事された。

「おい! まずい酒を買ってきた罰だ、今から俺がいいと言うまでブタの真似をしろ!」

「は、はい! かしこまりました」

そう言うや否や、醜く肥った体を無理矢理に押し曲げ四つん這いになった。 その姿は正しく豚そのものである。

「ぷぎーっ! ぷぎーっ! ぷごぉ!」

「ぶははは! これは傑作だ。 おまえの前世は絶対豚だったな! この豚野郎がっ、もっと鳴け鳴けーっ!」

屈辱に耐え涙を流す椎名の前世は、やはり豚であった。 スナイパーの前世占いは見事に的中したのだ。

「ふふっ。 ジミーさん、大分元気が出てきたみたいですね。 こうやってみんなで騒いでバカなことをやってれば、失恋の痛手なんかすぐ癒えるはずですよ。 そのうち時間が経てば好きだった感情も忘れて、何かのきっかけでふと思い出したときに、そんなこともあったなって懐かしめる日が必ず来ますよ」

経験者は何とやら、恋愛に免疫のないスナイパーに救済措置を施す。

「ああ、きっとそうかもしれないな。 大輔、いろいろとありがとう。 おまえがいてくれて心強いよ」深々と頭を垂れた。

スナイパーが心から葛原に感謝の意を述べたのは、これが初めてであった。

女には振られたけど、こうして俺を心配してくれる仲間がいるんだ、日本もまだまだ捨てたもんじゃないかもな。 夜にこのバカとラーメン食べに行って、たまにあの豚をいじめる生活も悪くないな。

少女を失った事により、再びアンダーグラウンドな世界に引き込まれるのではと危惧したが、唯一の友である葛原と、下僕の椎名にその危機を救われる結果となった。

「ぷぎ・・・ ぷぎぃ・・・ ひいぃ、もうやだよ・・・ 旦那様、すいませんでした・・・ もうお許し下さい」

とうとう屈辱に耐え切れなくなった椎名が豚の真似を放棄し、床に突っ伏して泣き出した。

「こらぁ! 誰がやめていいと言ったんだっ! もっと鳴け、おらぁ!」

べちぃ! スナイパーの死の張り手が、椎名の背中に炸裂した。

「ぷぎぃー!」あまりの激痛に獣声を響かせ、無様に仰け反った。

汗ばんだTシャツからは、皮膚が張り裂け、鮮血が滲んでいた。

椎名の背中には、恐らくは一生消えないであろう伝説のスナイパーの手形がスタンプされたのだ。

「ジミーさん、そんなに椎名さんをいじめたらかわいそうですよ」

あまりにも哀れに思った葛原が、スナイパーに制止を呼びかけた。

「何甘いこと言ってんだ。 この豚野郎には、これくらいで丁度いいんだよ」

「それもそうですね」あっさりと引き下がった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ