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伝説のスナイパー  作者: まこと
116/162

No.116

「さっきから黙って聞いてれば、ジミーさんの悪口ばかり。 あの人が一体何をしたのよっ!?」

絹江が顔を真っ赤にし、激昂した姿を見た事がないメンバー達は、ただ押し黙るしかなかった。

「ジミーさんがおじさんだって言うけど、あたし達もいつかはおばさんになるんだからねっ! その時、若い男の子達に、おばさんって陰口叩かれてたら、悲しいと思うでしょ?」

いつの間にか、絹江の目に涙が溢れていた。

「ご、ごめんごめん。 あたい達、別にそんなつもりで言ったんじゃないんだよ。 絹江の気持ちはよく分かったから、とりあえず落ち着いておくれよ」

静江が平身低頭で、絹江を宥める。

「じゃあ、どういうつもりよっ!? 確かにジミーさんは三十代よ、あたし達からすれば、おじさんに見えるかもしれない。 でもね筋肉は寺田小路よりもずっとずっとすごいんだからね! バルクもカットもバランスがいいんだからっ!」

えっ? て、寺田小路? 誰? あんた知ってる? 私が知るわけないじゃない! スマホで調べてみなさいよ。 えっ、でも今絹江怒ってるし・・・

絹江の迫力に気圧されたメンバー達は、目配せでの会話を余儀なくされた。

絹江から、筋肉の話を散々聞かされているメンバー達にとって「バルク」や「カット」と言った予備知識はあるものの、ボディビルアジア大会覇者・寺田小路 秀麻呂までは知る由もなかった。

スナイパーの驚異さを、比較する対象者を知らないメンバー達は、スナイパーの驚異係数が未知数のまま途方に暮れるしかないのだ。

「絹江、ジ、ジミーさんの凄さはよく分かったよ。 確かにシャツから見えた腕はすごかったよ! あれで絞められたら、一巻の終わりだよ」

事実、一巻の終わりである。 小娘の頚骨をへし折るくらい、力を加えるまでもない。

「う、うん! シャツでよく分からなかったけど、背中も広いよね! 鬼が哭いてると思ったもん」

道江も静江に倣い、ゴマをする。

「絹江、みんなジミーさんの凄さを分かってた上で、茶化しただけなんだからね」

希代の美少女・琴江が、絹江の肩に手を置き慰める。

「そういうことなら、今回だけは大目に見てあげる。 でも、もしまたジミーさんの悪口言ったら、許さないからね!」絹江が三人を睨む。

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