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伝説のスナイパー  作者: まこと
105/162

No.105

『なんですって!? あたしのダンスを馬鹿にするなんて、時と場合によっちゃ、タダじゃ済まさないわよ!』

「何よ、馬鹿にされるような、お粗末なダンス踊ってる自分が悪いんでしょ。 どうせなら、もっとうまくなってから披露しなさいよ。 それでも迷惑なのには変わりないけど」

『ちくしょう! 人のダンス馬鹿にしやがって! あんた達まとめて天井崩してぶっ殺してやる!』

ドンッ! ドンッ!ドンッ!

暴君・美香の怒りが臨界点を超え、怒気を含んだ震脚を繰り返す。 天井が崩れ落ちるのは、最早時間の問題であると言えよう。

『ちくしょう! 崩れろ! 崩れろ!』

「き、絹江ちゃん、あの女を怒らせちゃまずいよ! さ、今なら間に合うから、早く謝ろう」

スナイパーは、美香の怒りが鎮火するのを祈りながらも、強気な少女を説き伏せることにも余念がない。

「あたし達何も悪いことしてないんだから、謝るなんておかしいですよ。 ここで謝ったら、あの女が更につけ上がるだけです」

世間知らずな少女が、最もらしい正論を振りかざすが、世の中は理不尽から成り立っているのを知るには、まだ若過ぎたようである。

「ほら! 天井崩すんでしょう! まだまだ崩れないじゃない!」

『うあーっ! ちくしょう! とことんやってやるわよっ!』

ドンッ! ドンッ! ドンッ!

「や、止めてくれ! これ以上あの女を煽らないでくれよ! そうだ、絹江ちゃん、こ、ここじゃ、ゆっくり話も出来ないから外に出ようよ。 あのクソ女に関わったら、ろくなことないよ」

「それもそうね。 あの女もそのうち飽きるだろうから、暴れられるだけ暴れさせておきましょう」


「今日はせっかく来てくれたのに、こんなことになってごめんよ」

女同士の醜悪な闘争に、戦慄を覚えたスナイパーは、彼女達を隔離させることに成功し、下町アパートから程近い公園に避難して来たのだ。

「ジミーさんが謝ることないですよ、悪いのは全部あの女だし。 今日は駄目でも、またいつでも会えるじゃないですか。 時間はたっぷりあるんですから。 そうだ! 今度は花火でも見に行きましょうよ」

「あ、ああ、そうだね」

中年男が、年端も行かぬ少女に慰められながらも、完全にイニシアティブを掌握された。 最早、少女の言いなりになるのも、時間の問題と言えよう。

時間か・・・ もうそんなに時間がないんだよな。

スナイパーに残された猶予は、国会議員暗殺までの3週間である。

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