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工業男子は七人の女神様に崇拝する  作者: 鹿島夏紀
最二章 管理人と乙女が燃えるクラスマッチ
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第19.5話

「死ぬ...」

葵からの拷問(唐揚げ)を受けたあと、この苦しみから逃れようと俺はすぐさま医務室に走った。

「失礼します...」

返事はない。悪いが勝手にベットを使わせてもらおう。

「...ふう」

ベッドに横になるとクラスマッチでの疲れと精神的疲労、そして俺の意識がベッドに吸い込まれていくようだった。

あれから何時間ぐらい経ったのだろうか。顔に差し込む光に嫌々覚醒すると目の前に見慣れない壁が視界に入った。

「どこだ…?」

冷静に状況を判断する。

そうか、医務室で寝てたんだった。

俺はしぶしぶ頭を掻きながら体を起こすと、思っていた以上に疲れていたようで体からピシッという嫌な音が走る。

「中途半端に寝たな…。体もベトベトするし早く女子寮帰りてえ」

一般健全な男子高校生が聞いたら発狂しそうなワードを普通に言えるのは、おそらく、いや間違いなく管理人のおかげだろう。……誇っていいのかは知らないが。

医務室にはアクエリアッシュやポッカリスウェットなどのスポーツ飲料が、備え付けの冷蔵庫に数本冷やしてあるときがある。

運良くそれを思い出した俺は、

「1本ほど拝借させてもらおうか」

という結論に至った。

「…勝手に飲むのダメ」

しかし冷蔵庫から取り出そうと手を伸ばそうとしたとき行動を制止させたのは、

「げ、理胡...」

生物化学科の女神様、道野崎(みちのざき)理胡(りう)だった。

「...盗難」

「悪気はないんだ」

「...常套(じょうとう)文句」

「すまない...」

冷蔵庫に伸びていた手を下げると理胡は満足したようだった。

「...もう、大丈夫?」

「もうって?」

「...具合悪いんじゃないの?」

「あー、大丈夫。もう元気だ」

疲れてはいるけど。

「...じゃあ、寮に帰ろう」

「まさか俺を待っていてくれたのか?」

「たまたま保健室当番だっただけ」

「そうか。じゃあ帰るかー」

「うん」

「ところで理胡。今何時かわかるか?」

「...7時ちょっと前」

うわっ、すごい長い間寝てた...

その割りには疲れがとれておらず、やはり中途半端に寝たような気がしてならない。

それほど疲れていたということだろう。

「確か女子寮の晩飯って7時じゃなかったか?」

「うん。もう食べ始めてる」

「うわあ... 桃香怒ってるだろうな....」

説教され、暴行をうけ、晩飯抜きの3コンボか... 気が遠くなる。

「今日は」

「ん?」

「理胡がつくる」

「そうか、...は!?」

「理胡が、」

「いやそれわかったから」

「じゃあなに?」

「理胡、料理作れるのか?」

「...作れる」

「怪しい沈黙はやめてくれよ...」

作れる、か。葵の料理ができると一緒だったら死ぬな...

「俺も一緒に作るけどいいか?」

「うん」

まあ、俺が見ていれば怪しい料理を作り出すことはないだろう。...たぶんな。

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